製配販で物流改善進展、加工食品業界

実態に合わせ行動指針運用

農林水産省が9日に開いた第3回「加工食品分野の物流の適正化・生産性向上に向けた取組の情報連絡会」で、製配販行動指針の運用や、SM(スーパーマーケット)物流研究会の取組状況が報告された。日本加工食品卸協会が行動指針を基に実行状況評価方法を用いて運用を進めているほか、SM物流研究会は荷待ち・荷役時間が着実に減少、新たに分科会を発足するなど物流改善へさらに踏み込んでいく。製配販行動指針は、加工食品の製配販各団体が参画し、2022年4月に発足したFSP(フードサプライチェーン・サスティナビリティプロジェクト)によるもの。昨年11月に国の「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に対応した加工食品業界製配販行動指針を公表している。これを基に各団体が実態に合わせて運用を進めている。情報連絡会で報告した日本加工食品卸協会は、定期的な内容の更新が必要とし、実行状況評価方法を提示した。具体的には、製-配、配-販(専用DC⇒小売店舗)、同(卸拠点⇒小売TC)の3連携別に各社の取組状況を評点。未着手=1点、着手予定=2点、対象拠点のうち一部の拠点で実行済み=3点、同50%以上の拠点で実行済み=4点、全の拠点で実行済み=5点。公表された各社評点の平均では「荷待ち時間・荷役作業にかかる時間の把握」3・8点、「荷待ち・荷役作業時間2時間以内ルール」3・4点、「物流管理統括者の選定」3・8点などである。各社の取組状況が4点以上の項目は、もう一段厳しい条件に設定を行う。設定条件は年1回、協議の上、合議制で決定する。
●分科会発足し踏み込む
一方、SM物流研究会は22年8月の4社物流協議会発足から加盟社が増え、昨年10月には10社体制で全体会(SM物流研究会)とエリア部会(首都圏SM物流研究会)の2部制に、5月にはイトーヨーカ堂が参加し16社が加盟、FSPにも参加している。報告では、荷待ち1時間超過のトラック台数の全台数に占める割合は計測を始めた昨年10月14・8%に対し5月3・5%(10社)。バース予約率の向上で、入荷トラックの状況把握(積載物、バラ、パレットなど)により改善を図っている。同様に荷待ち・荷役作業時間2時間超過率は、10月の11・8%から5月3・8%。バラ積みからパレット積みへの移行を推進する。今年度はSM間で共同配送や各社空き車両の有効活用を進めるほか、生鮮、チルド加工食品の物流課題も先方とともに改善、商品マスタ標準化への取り組みを進める。取り組みごとに分科会を発足。パレット納品拡大(担当企業=マルエツ、ライフ、原信、ナルス)、共同配送、空きトラックの有効活用(カスミ、西友、平和堂)、生鮮物流における物流課題解決(サミット、東急ストア、イトーヨーカ堂)、チルド物流における物流課題の解決(ヤオコー、いなげや、エコスグループ)。