計画的改善促す措置を、検討会が中間取りまとめ
省エネ法等参考に規定
17日に開かれた第5回 「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、事務局が中間とりまとめ案を提示し概ね了解を得た。前回会合で物流改善に向け、荷主に対して類似法令を参考に規制的措置を講じる骨子を示したが、これを政策の方向性としてより具体的に記述。今後、2~4月にかけて荷主業界団体等にヒアリングし、5~6月には最終とりまとめを行う。検討会は国土交通省、経済産業省、農林水産省が連携し有識者、関係団体等の委員で構成、昨年9月に立ち上げた。これまでの議論を踏まえ、中間取りまとめ案には①荷主企業や消費者の意識改革、②物流プロセスの課題解決、③物流標準化・効率化への環境整備――について政策の方向性を示した。全般には「物流事業者が提供価値に応じた適正対価を収受し、物流事業者・荷主企業・消費者が〝三方良し〟となる社会を目指すもの」とし最終とりまとめにはKPIを含めたイメージを示す。①の意識改革において、対荷主では物流改善の取り組みが消費者や市場の評価につながる在り方を検討するとともに、経営者層の意識改革への措置として、省エネ法の業務管理者や鉄道事業法等の安全統括管理者の選任に係る規定を参考とするなど、担当者を定め全社対応を強く促す。消費者に対しては物流改善で求められる役割を整理し、分かりやすく示すための措置を検討する。②の物流プロセスでは、待機・荷役時間や納品回数・リードタイムなどの計画的な物流改善を発・着荷主企業に促す。省エネ法の中長期計画の作成や定期報告に係る規定を参考とした措置とする考え。労働時間の削減には物流事業者自身の取り組みも重要であり、その支援の必要性も示した。トラック業界の多重下請構造の是正など、運賃の適正収受もその特性に配慮しながら既存法令を参考に措置を講じる。また、物流コストではとくに発・着荷主間での可視化が課題とし、物流サービスに応じて価格を変動させる〝メニュープライシング〟の取り組みなど施策を検討する。③の標準化、効率化では既に進められている政策も含め支援措置を拡充する方向。デジタル技術を活用した共同輸配送・帰り荷の確保、物流拠点ネットワークの形成、モーダルシフト推進、省エネ化・脱炭素化への環境整備など7項目を掲げた。中間取りまとめ案に対し、委員から内容には概ね了解を得た。荷主には「物流改善に頑張っている企業へのインセンティブを」、消費者の役割については「行動変容につながる措置を」といった意見が聞かれた。また検討会でNX総研が試算した「不足輸送能力14%」が政策の方向性でどこまで吸収できるかなど指摘も聞かれた。