許可更新制など4本柱、全ト協改正法案

自公議連で協力要請

全日本トラック協会(坂本克己会長)は、トラック運送事業の許可更新制度の導入などを柱とする貨物事業法の一部改正と、適正競争推進特別措置法(仮称)の案を、17日の自民党トラック輸送振興議員連盟総会、20日の公明党トラック議員懇話会に提示し、議員立法による今通常国会の成立に向け協力を要請した。更新制度の導入は5年間の有効期間を設定する。貨物法改正案では、許可更新制度のほか、適正運賃の収受、下請構造の適正化、白トラ利用に係る荷主への是正指導の4本柱。更新制の有効期間は貸切バスなどが設定する5年を適用する。適正運賃の収受は、トラック運送事業者が標準的運賃を的確に収受できるよう、法的根拠の付与を検討する。下請構造では、トラック運送事業者、貨物利用運送事業者は、原則として2次を超える下請負が行わないよう必要な措置を講じるべきとした。荷主による白ナンバートラックの利用も、国土交通省の是正指導の対象となる違反原因行為に追加するよう求める。適正競争推進即別措置法は、許可更新制度の導入を担保するための新法。業務を適切・公正・中立・効率的に実施しうる法人を、適正競争推進機関(仮称)として規定する。適正競争とこれを通じた物流の持続的発展を広く社会で支えるため、基金の設置と具体的な財源措置のあり方を規定する。これらは十分に執行が担保できるまで一定の猶予期間(3~5年)を設定する。
●標準的運賃に法的根拠を
17日の自民党トラック議連総会であいさつした坂本会長は、35年前の物流2法改正で事業参入が許可制、運賃が届出制となったことから「必然的に過当競争にならざるを得なくなった。悪化が良化を駆逐することを何とかしなければならない」と法改正の趣旨を述べた。 「ドライバーが仕事に自信と誇りを持ってもらう」ため、適正運賃収受へ標準的運賃の法的根拠を付与することや、白トラについては「実態を調査し対策に本腰を入れてほしい」と強く求めた。何も対策をしないと2030年には約35%の輸送能力が不足する試算や、トラックドライバーの年間所得額が全産業平均と比較して大型で約4%、中小型で約14%低い実態も示しながら、今回の法改正は「社会のため、消費者のため、ドライバーのためである」とし、今国会での成立へ理解を求めた。加藤勝信自民党トラック議連会長は、「坂本会長の思い、問題意識を共有しながら、いただいた案をベースに議論を深めていきたい。働く方々、事業者の方々が安心して取り組めると同時に、起こりうる輸送能力不足の時代を乗り越え、経済が引き続き力強い足取りで回復する流れをともにつくりたい」と法案に全面協力する意向を示した。自民党議連では物流調査会会長を務める上野賢一郎衆議院議員と宮内秀樹衆議院議員を中心にプロジェクトチームを発足させ、衆議院法制局や国土交通省物流・自動車局とも連携していく。
●大義名分は持続可能な国民生活
20日に開かれた公明党のトラック議員懇話会、物流問題プロジェクトチーム、国土交通部会合同会議では議員懇話会の赤羽一嘉会長が「法律をつくることが、一番強制力がある。会社も新陳代謝するので、永久な事業許可制度はいかがなものか」と指摘した。さらに白トラ対策では「警察の取り締まりとともに、荷主に対してもペナルティを課さないと実効性はない。この法改正の大義名分は持続可能な国民生活であるということ。少々強制力ある法律をつくらざるを得ない」との考えを述べた。白トラ対策に関し出席した警察庁の担当者によると、検挙件数は2020年47件、21年23件、22年20件、23年18件に対し、昨年は73件と増え、物流の24年問題で白トラの事案が一定程度想定されたとコメントした。