販売単価DI過去最高更新

TDB4月景気動向調査

帝国データバンク(TDB)が7日発表した4月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比横ばいの43・1だった。低調な建設業や製造業などからの発注減や、人手不足、24年問題などが下押し要因となったが、販売単価DIが2カ月連続で過去最高を更新し一定の価格転嫁は進捗する。一般貨物自動車運送業の景気DIは0・2ポイント増の40・4と微増だが2カ月連続で改善した。全体の景気DIは前月比0・3ポイント減の44・1と2カ月ぶりに悪化。急速な円安の進行やコスト負担の高まりが収益環境を悪化させた。原材料価格の高止まりが幅広い業種業界に影響し、全体では不十分な価格転嫁が下押し要因となった。今後の景気は、外国為替レートに不確実性があるが、賃上げなどで緩やかな持ち直し傾向で推移するとみている。運輸・倉庫業界の各指標をみると、売上DIが前月比1・9ポイント減の50・0と後退した。一方で販売単価DIが61・6と過去最高となった前月(60・5)をさらに1・1ポイント上回った。荷主との交渉を通じた販売単価の上昇が主に大手企業でみられた。仕入単価DIも68・5(前月67・4)と水準を上げている。雇用過不足DIは正社員63・8(前月63・9)、非正社員58・0(前月57・8)と人手不足感も引き続き高い。このほか運輸・倉庫では能登半島地震からの災害復興の動き、外航で円安による輸出財の好影響が押し上げ要因となった。物流関係者からは「人件費の高騰、燃料費の高止まりが予想されるが、輸送量の増加と取引単価アップが見込まれ、経費増を吸収できる」(特別積合せ貨物運送)、「原価価格も上昇し、労働時間の制限にともない運行内容を見直したために売り上げも減少。値上げ交渉も非常に難しい(一般貨物自動車運送)など、価格交渉が進む一方、依然厳しい意見も聞かれる。先行きも「1年後には主要顧客である荷主の販売先で在庫調整が段階的に進む」(普通倉庫)、、「荷物は溢れ、人員が確保できれば伸びる」(一般貨物自動車運送)などの一方、「中国の景気低迷で輸出入の荷動きが悪い(運送取次)との声も聞かれる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・2、6カ月後46・8、1年後47・4となっている。