軽貨物も事故削減目標を
「プラン2025」達成困難
国土交通省は14日の事業用自動車に係る総合安全対策検討委員会で、最近の事故状況や次期「事業用自動車総合安全プラン」策定などについて議論した。事故状況からは現行の「プラン2025削減目標」の達成は難しく、とくに軽貨物の事故が増加するトラックは目標値と予測値に大きな乖離がある。このため、次期プランの目標設定では、トラックを軽貨物と軽貨物以外に分離する案が示された。事業用自動車の交通事故件数はコロナ禍で一時減少したが、直近は横ばい・増加傾向。コロナ禍の影響を除き、2019年の事故件数と23年の事故件数を直線的に結び、「プラン2025」(21~25年)最終年の25年の予測値を推計した。事故件数は各モードとも目標値に至らない。とくにトラックは目標値9100件以下に対し、予測値は1万3457件と開きがある。23年のトラック事故件数1万4383件のうち、軽貨物4992件(19年比25・5%増)、軽貨物以外9181件(同21・1%減)と軽貨物の増加が大きく影響している。トラックの事故類型は軽貨物も含め追突が約4割と最も多い。こちらも目標値3350件以下に対し予測値5248件と開きがある。交通事故死者数はバスを除き、各モードとも目標値の達成は難しい状況。重傷者数は、トラックを除き目標値を達成すると予測する。飲酒運転の事故件数はゼロ目標に対し、23年は48件(トラック45件)に増加、7件で点呼の未実施を確認した。25年の予測値は44件となる。
●次期プラン、26~30年度の5カ年計画
次期総合安全プラン策定に際し、事故を減少させる取り組みの方向性として、①運行中も含めた運行管理の高度化、②運転者不足、運転者の高齢化を踏まえた対応、③運転者の行動変容、④先進安全技術のさらなる性能向上・普及促進―を重点に示した。遠隔・自動点呼など運行管理の高度化では、負担が大きい小規模事業者への方策や、運行前後だけでなく、運行中の運行管理を普及させる。各種マニュアルなどの内容を運転者が実践することが重要とし、運転者の行動変容につながる方策を講じる。健康起因事故や飲酒運転対策で作成した各種マニュアルの内容を、点呼時や休憩中などに確認できるよう、簡易版やショート動画を作成する。次期プランは、第12次交通安全基本計画期間と連動し、26~30年度の5カ年計画とする考え。今後、自動車運送事業安全対策検討会で議論し、26年3月の総合安全検討委員会で決定する。