運輸・倉庫業の価格転嫁率31・3%

TDB調査、前回下回る

帝国データバンク(TDB)がこのほど発表した価格転嫁に関する実態調査(2月実施)によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は、全体で40・6%、運輸・倉庫業は31・3%でともに前回調査(2024年7月)を下回った。全体、運輸・倉庫業の価格転嫁状況は表の通り。価格転嫁率は1年前の前々回調査比では全体で同水準、運輸・倉庫業は3・5ポイント増だが全体とは開きがある。運輸・倉庫業のうち、一般貨物自動車運送業の価格転嫁率は30・2%(前回33・0%、前々回25・4%)。全体で項目別の転嫁率は、原材料費が5割程度の一方、人件費や物流費、エネルギーコストは3割程度にとどまる。価格転嫁に対する理解は徐々に広まりつつあるが、依然として人件費やエネルギーなど、消費者や取引先に理解されにくいコスト上昇分は転嫁が進みにくい状況にあるとみる。業種別では化学品卸売や鉄鋼・非鉄・鋼業製品卸売で価格転嫁率6割を超えるなど、卸売業が他の業種より転嫁が進む一方、川下に位置する産業では、継続的な価格転嫁に苦慮している。運輸・倉庫業の価格転嫁率は27業種中21番目。24年問題を契機に価格転嫁を進める動きはみられるが、車両費の高騰やガソリン補助金の縮小、重層的な取引構造から直接的な値上げ交渉が難しいことが要因とみる。