運輸・倉庫2カ月ぶり改善、TDB11月景気動向調査
工事関連、半導体向けプラスに
帝国データバンク(TDB)が4日発表した11月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・2ポイント増の45・9、うち一般貨物自動車運送業は同1・4ポイント増の44・1とともに2カ月ぶりに改善した。運輸・倉庫業界の45・9はコロナ前の2019年9月(46・0)以来、一般貨物自動車運送業の44・1も19年11月(45・5)以来の水準まで戻した。全体の景気DIは前月比0・1ポイント増の44・4とほぼ横ばいだった。国内景気は工事関連や都市再開発半導体向け需要の増加などが好材料となり、運輸関連にも波及した。半導体関連の設備投資や観光需要、再開発、各種イベントなどは地域特有のプラス材料ともなった。一方、家計の節約志向は高く家電や自動車など耐久消費財の販売が不調。さらに、人手不足や原材料価格の高騰なども下振れ材料となった。今後は個人消費の動向が最も重要なポイントとみる。プラス要因に観光産業の伸長や人手不足に対応する設備投資の拡大を挙げる一方、物流コストの上昇やインフレの進行が企業の収益を圧迫し、消費者の購買意欲を削ぐ要因となりうるとしている。
運輸・倉庫の各指標をみると、販売単価DIが61・0(前月60・8)に上げたが、仕入単価DIも67・8(前月65・8)と上昇傾向が続く。雇用過不足DIは正社員64・3(前月64・0)、非正社員58・0(前月57・3)と不足感が強まっている。物流関係者からは「時間外労働の規制による影響もあり、物価高騰のなか価格転嫁もできていない」(一般貨物自動車運送)、「中国の景気低迷の影響で輸出・輸入の荷動きが鈍調」(運送取次)など厳しい声が聞かれる。見通しも「米トランプ次期政権の政策による影響が読めない」(港湾運送)、「物価高騰で貨物量が振るわない状況が続くほか、ドライバー不足には拍車がかかり、人材の争奪戦が激化する」(一般貨物自動車運送)など懸念が聞かれる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・9、6カ月後46・5、1年後48・2となる。