運輸・倉庫2カ月ぶり改善
TDB7月景気動向調査
帝国データバンク(TDB)が3日発表した7月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・3ポイント増の43・5、うち一般貨物自動車運送も1・3ポイント増の40・3とともに2カ月ぶりに改善した。人手の増加による需要増や貨物関係では建設や製造の景況感改善もプラス要因となった。一方で仕入れ単価DIが2カ月連続で上昇し、販売単価DIとの開きが再び広がるなどエネルギー価格の高騰が懸念される。全体の景気DIも前月比0・2ポイント増の45・2と2カ月ぶりに改善。人出の増加や猛暑などで季節もの消費が下支えした。夏休みシーズンを迎え対面サービスも回復がみられたほか、貸切バスやタクシー需要も活発化した。半導体不足の緩和に伴い自動車の生産回復も景況感を押し上げた。他方、生活必需品の値上げのほか、電気代やガソリン・軽油を含むエネルギー価格の高騰、長期化する人手不足、大雨などはマイナス材料だった。
今後は設備投資の拡大や対面サービスをベースに緩やかな上向き傾向で推移するとみる。貨物関係の動向としてTDBでは「建設や製造の景況感や設備投資意欲などの改善に伴い資材関係の物流量の拡大が好材料で、今後も設備投資の堅調な推移がプラス要因」としている。運輸・倉庫業界の景気DIは5月(43・4)に対しても僅かに上回り、直近では2019年11月(45・1)以来の水準。各指標はグラフの通り。販売単価DIが57・2と過去最高だった前月(58・3)を下回る一方、仕入単価DIが69・0(前月66・9)と2カ月連続で上昇している。雇用過不足DIは正社員63・8(前月63・0)、非正社員58・1(前月57・7)と人手不足感も強まっている。貨物関係の事業者からは「価格転嫁が十分にできず中国など景気低迷の影響も大きい」(港湾運送)、「原油価格の高騰を輸送料金へ転嫁できていないうえに、24年問題の関係で最悪な状況が継続している」(一般貨物自動車運送)など依然として厳しい声が聞かれる。見通しも「海外経済の減速で輸出入の低調は継続」(普通倉庫)、「原価上昇分を転嫁できていないが、取引先も同様な条件で販売が伸び悩む」(一般貨物自動車運送)、「24年問題に温暖化による干ばつや自然災害の増加は国内外サプライチェーンに大きな影響」(運輸に付帯するサービス)とマイナス材料を抱える。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後46・0、6カ月後46・9、1年後47・7となっている。