運輸・倉庫2カ月連続改善

TDB4月景気動向調査

帝国データバンク(TDB)が8日発表した4月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・9ポイント増の42・1と2カ月連続で改善した。2019年12月(42・6)以来の水準でコロナ前に戻した格好。インバウンドを含め観光需要の伸びが大きいが、一般貨物自動車運送の景気DIも0・9ポイント増の40・3と2カ月連続で改善した。全体の景気DIは前月比0・7ポイント増の44・6と2カ月連続で改善。アフターコロナへ経済活動・社会生活が正常化する動きのなかで、人手不足や物価上昇がマイナス要因だったものの、個人消費関連を中心に改善、人出の増加による好循環が幅広い業種に波及した。一方でTDBでは当面の景気は緩やかに上向くが、人手不足や物価高などが下押し材料となり、一段と押し上げる力強さはまだないとしている。運輸・倉庫業界の景気DIは直近では高かった昨年11・12月水準(41・6)を超えた。とくに旅行代理店業が5・1ポイント増の51・3、国内外へのモノの動きが上向いた港湾運送業が2・8ポイント増の42・4などが全体を押し上げた。一般貨物自動車運送の景気DI40・3は、昨年12月(41.0)以来の水準となる。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。仕入単価DIは67・7(前月67・8)と依然高水準だが、販売単価DIが57・6(前月56・9)と前月の過去最高値をさらに更新した。雇用過不足DIは正社員63・0(前月64・6)、非正社員57・5(前月57・9)と前月水準より下がったが、引き続き人手不足感を抱えている。貨物関係の事業者からは「購買力低下や天候不順などで青果物輸送が伸びず一般物も動きが悪い。人件費や軽油代、電気代などコストも上昇」(一般貨物自動車運送)など依然厳しい声が聞かれる。見通しも「観光需要の回復による物流の増加、燃料費の若干の低下による好影響が見込まれる(特別積合せ貨物運送)」一方、「運賃への価格転嫁が進まない。60時間以上の残業代割増分、支払いが増える。24年問題も控え1人当たり売上高が下がることが確定」(一般貨物自動車運送)」など懸念は払拭されない状況だ。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・1、6カ月後47・3、1年後48・1となっている。