運輸・倉庫3カ月ぶり悪化、TDB10月景気動向調査

燃料高にドライバー確保問題

帝国データバンク(TDB)が6日発表した10月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・7ポイント減の44・7、うち一般貨物自動車運送業は同0・9ポイント減の42・7とともに3カ月ぶりに悪化した。燃料価格の高止まりに加え、ドライバー確保の問題、海外経済の影響などが下押し材料となった。全体の景気DIも前月比0・3ポイント減の44・3と4カ月ぶりに悪化。節約志向の高まりで飲食料品やアパレルなど個人消費の停滞が響き、上向き傾向が一服した。とくに小売業界は1年8カ月ぶりに景気DIが30台に低下。観光需要も伸び悩み、季節需要や一部地域における公共工事の低迷が地域経済の下押し要因となった。今後の景気は、物流コストの上昇や中東情勢など、下振れ懸念を抱えつつも底堅く推移していくとみる。運輸・倉庫の各指標をみると、販売単価DIが60・8(前月60・5)に上げたが、仕入単価DIも66・8(前月65・7)と再び上昇。雇用過不足DIは正社員64・0(前月64・2)、非正社員57・3(前月57・7)と依然高水準で不足感が続いている。また、10月からの最低賃金の引き上げは、景気回復への期待の一方、企業には経費増になり、中小零細が多い運輸・倉庫関係も資金繰りに影響するとみている。物流関係者からは「燃料高騰が経営を圧迫するなか、運賃は変わらない」(一般貨物自動車運送)、「荷主交渉で価格改定し売上増となったが、仕入価格も上がり利益は微増」(普通倉庫)などコスト高の懸念が聞かれる。さらに「中国向け出荷が激減」(港湾運送)、「メーカーの生産量や輸出入が増えないなどの理由で物量が回復しない」(港湾運送」など海外経済の影響を含め荷動きも厳しい。見通しも「中国の景気低迷で輸出入の荷動きが低下する状況が続く」(運送取次)、「今後の人材不足やさらなる人件費・仕入価格高騰の影響は続く」(一般貨物自動車運送)など聞かれる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後46・0、6カ月後46・1、1年後46・9。前月より各1・5ポイント、1・4ポイント、1・1ポイント下げている。