運輸・倉庫4カ月ぶり悪化

TDB6月景気調査、燃料高騰に人材確保苦戦

帝国データバンク(TDB)が5日発表した6月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・2ポイント減の42・2と4カ月ぶりに悪化した。貨物輸送を中心に燃料費の高騰や人材確保に苦戦している。さらに整備部品の高騰も下押し要因となった。一般貨物自動車運送の景気DIも2・4ポイント減の39・0と4カ月ぶりの悪化となった。全体の景気DIは前月比0・4ポイント減の45・0と5カ月ぶりに悪化。長引く人手不足やインフレ傾向などがマイナス要因となり、回復傾向が「一時的にストップした」とみており、「緩やかに回復しながら推移」との見通しは変わらない。6月は原材料価格やエネルギー価格の高騰に、食品などの値上げによる買い控えも悪材料で個人消費関連が低調だった。また、今後の円安進行による価格の上昇分に対する価格転嫁へ懸念を示す声も多く聞かれた。運輸・倉庫業界もこれらコストや消費低迷に長期化する人材不足の影響を受けた。各指標はグラフの通り。販売単価DIが58・3(前月57・2)と4月の57・6を上回り過去最高を更新したが、仕入単価DIが66・9(前月65・6)と5カ月ぶりに前月を上回り再び上昇している。雇用過不足DIは正社員63・0(前月63・2)、非正社員57・7(前月57・8)と高止まり。貨物関係の事業者からは「価格転嫁ができていない。荷主の立場が強く値上げが厳しい(組立こん包)、「需要が回復しない。燃料高、ドライバー不足が強く影響」(一般貨物自動車運送)、「輸入貨物の取り扱い量が昨年比3割減。円安と中国経済の低迷と思われ、長期化すると言われる(港湾運送)など厳しい状況だ。見通しでは「消費の回復や東南アジアからの輸入量増加」(冷蔵倉庫)や、「半導体不足の解消による自動車の生産回復」(普通倉庫)など好材料も聞かれるが、「24年問題への対応が間に合わない。輸送料金の値上げは立場の弱い中小企業では商談しにくい」(一般貨物自動車運送)との声が依然として聞かれる。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・6、6カ月後47・6、1年後48・1となっている。