運輸・倉庫4カ月ぶり改善、TDB3月景気動向調査
トランプ関税に懸念
帝国データバンク(TDB)が3日発表した3月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・8ポイント増の43・3と4カ月ぶりに改善。うち一般貨物自動車運送業の景気DIは0・4ポイント増の41・4と2カ月連続で改善した。全体の景気DIは前月と同水準の43・5。2月も0・1ポイント減で横ばい状況が続く。インバウンドや外出機会の増加がプラス材料だが、食品や原材料価格の高止まりが抑制要因。今後は、IT関連の設備投資などが支えるものの、米国の関税引き上げなど世界経済の不確実性が高まり、横ばい傾向が続くと見る。3月の運種・倉庫は、物量は安定してきたが、引き続きコスト上昇圧力が収益を圧迫し景気DI改善も小幅にとどまる。各指標をみると、販売単価DIは60・7(前月60・6)、仕入単価DIは70・6(前月70・4)と高止まり。雇用過不足DIは正社員65・5(前月65・0)、非正社員58・7(前月57・5)と人手不足感はさらに強まる。物流関係者からは「売り上げは増加したが、コストも増加し、利幅は横ばい」(普通倉庫)、「中国向け輸出、国内自動車業界への出荷がかなり落ち込む」(港湾運送)、「燃料高、物価高、人件費高を運賃に十分に転嫁できていない」(一般貨物自動車運送)と引き続き利益面で厳しい声が聞かれる。見通しでは「冷凍倉庫の需要は確実に増え、この状況は続く」(冷蔵倉庫)、「増員計画が軌道に乗れば、増収増益が見込める」(運輸に付帯するサービス)などの一方、「中国の景気低迷で輸出入の荷動きの低調が続くほか、トランプ関税の影響が不透明」(運送取次)、「トランプ関税で日本の輸出量は減少する」(集配利用運送)などトランプ関税への懸念の声が相次ぐ。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・2、6カ月後45・7、1年後46・4となる。