運輸・倉庫 転嫁進み収益改善

TDB8月景気動向調査

帝国データバンク(TDB)が4日発表した8月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比2・4ポイント増の45・0と2カ月ぶりに改善した。小規模企業を中心に幅広く回復し、徐々に価格転嫁が進み収益性の改善がみられる。一般貨物自動車運送業の景気DIは前月比2・1ポイント増の41・6だった。全体の景気DIは前月比0・5ポイント増の44・3と2カ月連続で改善。観光産業や季節的な需要がけん引し、全体の景況感を押し上げた。外出機会の増加や猛暑、備蓄品の駆け込み需要などで飲食、食品製造など幅広い業種へ好材料が波及した。好調な半導体関連の設備投資に加え、価格転嫁の広がりも好材料だった。今後の景気は海外の状況など不透明な要素もある一方で、IT関連の投資など好材料も多く、底堅く推移するとみる。運輸・倉庫の景気DI45・0は、コロナ前の2019年11月(45・1)以来の水準となる。8月は製造、建設など多くの業界が改善を示し荷動きがプラスに向いたことや、貨物関係の事業者から価格転嫁が進んでいるコメントが増え収益面でも改善傾向にある。運輸・倉庫の各指標をみると、前月下げた販売単価DIは61・7(前月61・0)に再び上昇。仕入単価DIも66・8(前月66・9)と高止まり。雇用過不足DIは正社員63・7(前月63・6)、非正社員58・1(前月57・3)だった。物流関係者からは「中国の景気低迷や中東情勢などで輸出入の荷動きが鈍い」(運送取次)、「中国経済の低迷による影響が続く見通し」(組立こん包)など荷動きでは引き続き懸念が聞かれる。一方で「トラック部門は4月から大幅値上げを実施し増収増益。通運もモーダルシフトにより増収増益」(集配利用運送)、「運賃転嫁も少しずつ進んでいる」(一般貨物自動車運送)など聞かれ、コストが収益を圧迫する状況下、徐々にだが価格転嫁が進んでいる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後47・1、6カ月後46・9、1年後48・5となる。