運輸倉庫業 価格転嫁率34・9%

TDB調査「24年問題」追い風に

帝国データバンク(TDB)が8月28日発表した価格転嫁に関する実態調査(7月実施)によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は、全体で44・9%(①前回24年2月調査/40・6%②前々回23年7月調査/43・6%③前前々回22年12月調査39・9%)と前回調査より4・3ポイント上昇した。全体の価格転嫁率44・9%は、コスト100円上昇に対し44・9円しか販売価格に反映できず、残りの5割以上(55・1円)を企業が負担することを示す。ただ、前回調査(40・6円)から4・3円分転嫁が進展した。運輸・倉庫業の価格転嫁率は34・9%(①27・8%/②26・2%/③20・0%)で前回調査より7・1ポイント上昇し3割台に到達した。このうち一般貨物自動車運送業の価格転嫁率は33・0%(①25・4%/②23・1%/③18・6%)と前回より7・6ポイント改善した。企業からは「物流の2024年問題の後押しもあり、取引先との交渉がスムーズにいくことが多い」との声も聞かれ、2024年問題への対応が追い風になっているようだ。価格転嫁率の高い主な業種は「化学品卸売/65・0%」や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売/63・0%」などで6割を超えた。その一方、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生/19・8%」が2割を下回ったほか、「娯楽サービス/21・7%」、「金融/25.・8%」、「農・林・水産/27・3%」などは低水準だった。サプライチェーン別の動向では前回調査より改善幅は小さいものの、やや価格転嫁は進展している。ただ、川下に位置する「飲食店/36・0%や「飲食料品小売/40・9%」は前回調査から転嫁率は後退し、業種間で価格転嫁に格差が広がりつつある。今回調査の結果から、転嫁が少しずつ進んでいる。ただ、運輸・倉庫の企業からは「値上げ交渉はしてきたが、想定以上の経費増によりすべて転嫁ができていない。再交渉には時間がかかる」とのコメントも寄せられている。TDBでは原材料価格の高止まりや人件費の高騰などに加え、同業他社の動向や消費者の節約志向も相まって「進み出した価格転嫁が頭打ちになる可能性もある」と分析している。