配慮要請8月末で7641件、厚労省荷主対策
荷待ち是正と改善告示を周知
厚生労働省は昨年12月の改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成し、トラック運転者の長時間労働の是正に取り組むが、8月末時点でこれまで7641件の荷主企業等に対し労働基準監督署から配慮要請を行った。長時間荷待ちの是正に努めることと、運送業務の発注担当者への改善告示の周知が主な内容。長時間荷待ち案件の情報が後を絶たないが、配慮要請を経て改善に係わる好事例の紹介に至るケースもみられる。来年4月の改正改善基準告示の適用まで半年に迫るが、長時間労働の是正には荷待ちや荷役作業など荷主側の対応が不可欠だ。都道府県労働局で発足した対策チームは発着荷主・元請けに対し是正に努めるとともに改正告示の周知を促している。これまで実施した配慮要請件数の内訳は発荷主、着荷主、元請けで重複もあるが全体では発荷主が多い。昨年12月23日の稼働から4月末時点で3026件に対し4カ月後で7641件とペースは上がっている。配慮要請は、監督署の通常の運送事業者への立ち入り調査で改善告示違犯の実態があった際の荷主等の長時間荷待ちの情報や、厚労省HPに設置した「長時間荷待ちに関する情報メール窓口」などから情報を得ている。情報窓口への件数も4月末173件に対し8月末375件と徐々に増えている。発着荷主、元請に関する内容がそれぞれ寄せられ、依然として恒常的な荷待ちの情報がみられる。一方で要請時に荷主側から具体的にどう改善するかなど要望があれば、別途、労働局の適正化指導員が改善策の好事例を紹介している。省庁連携の中央協議会で取りまとめたガイドラインなどを提示。要請事項に前向きに取り組めるよう後押しておりこうしたケースも増えているという。国土交通省による貨物事業法の荷主対策とも連携する。トラックGメンの発足で荷主への働きかけは8月末で142件と急増。政府の物流政策パッケージにおいても荷主対策について省庁連携を一層緊密にすることが記されており、商慣行是正の観点からも一段の対策強化が期待される。
●情報センターには553件
改正改善告示の施行が間近となり運送事業者からの相談も増えている。厚労省が昨年8月に開設した「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」に寄せられた相談件数は3月末までの8カ月間で299件に対し、4-8月の5カ月間で254件。訪問コンサルティングも30件近く実施している。累計553件のうち、トラック運送事業者からの相談件数は333件。多くが改正改善基準告示に関するもの。荷主からの相談にも応じ、こちらは24件だがコンサルを行ったケースもある。その他異業種からの相談も多い。同相談センターは来年3月末までの措置となるが、厚労省では来年度概算要求で「自動車運転者の労働時間改善に向けた荷主等への対策事業」で1・7億円(今年度当初予算2・6億円)を設定、減額分は相談センター関係などで、荷主と運送事業者による取引環境改善の促進(自動車ポータルサイトの継続運営)や、時間外労働上限規制等の周知・広報への施策を引き続き強化。改善告示施行後も関係事業者や労働者への周知、さらに一般企業・国民に対する理解に向けた広報も継続的に発信していく。