24年トラック倒産 年間374件4年連続増
「燃料高」と「人手不足」が直撃
東京商工リサーチ(TSR)が14日発表した2024年(1―12月)の「道路貨物運送業」倒産(負債額1000万円以上/私的倒産含む)は、件数が前年(328件)比14%増の374件と4年連続で前年を上回り、2010年以降では2010年(376件)に次ぐ2番目の多さだった。負債総額は543億1300万円(前年比9・6%減)で、3年ぶりに前年を下回った。件数は大きく増加したが、負債10億円以上が3件(前年6件)、同5億円以上10億円未満が13件(同17件)と減少し、負債総額を押し下げた。
倒産件数は、原油高や円安を背景とした燃料費の高騰などによる「物高」関連倒産が131件(前年121件)と3年連続で前年を上回ったものの、増加率は8・2%と鈍化した。一方、「人手不足」関連倒産は前年比で約1・9倍の79件(同41件)と増加した。内訳は人件費高騰が28件(前年14件)、後継者難が26件(同8件)、求人難が17件(同16件)、従業員退職が8件(同4件)で、いずれも集計を開始した2013年以降で最多を記録した。24年4月に時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面するなかで、ドライバー不足がさらに顕著となり、「後継者難」倒産も前年の3・2倍に急増。ドライバー不足だけでなく、後継者育成にも苦慮する運送業者の実態も浮き彫りとなった。今後の見通しについては、この1月からは燃料価格を抑えるための政府からの補助金も縮小され、軽油価格が高騰している。燃料費や人件費などのコストアップが続くなか、価格転嫁が難しい小規模の運送業者を中心に倒産件数の増勢が続くとみられる。
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12月の単月「道路貨物運送業」倒産は、件数が37件(前年同月比9・7%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、12月度としては、2015年以降の10年間で2023年に次ぐ過去2番目の高水準だった。負債総額は41億6900万円(前年同月比59・1%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が発生せず(前年同月3件)で、負債総額を押し下げた。 「人手不足」関連倒産は9件(同3件)、内訳は「人件費高騰」と「後継者難」が各3件、「求人難」が2件、「従業員退職」が1件だった。燃料費の高騰などによる「物価高」倒産は、10件(同14件)発生した。