3年後目途に見直し検討も、改善基準告示

適用後状況把握へ実態調査

9月27日の労政審労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会で改善基準告示改正へのとりまとめが承認された。労働条件分科会に報告し、12月に告示改正、2024年4月に施行される。とりまとめにはトラック、ハイヤー・タクシー、バスの新たま基準とともに、荷主や白ナンバー関係への周知、さらに適用後の運用状況を把握し、3年後を目途に実態調査を含め見直への検討を行うことも示した。とりまとめ(自動車運転者の労働時間改善等の改善のための基準の在り方について)には3業態の新基準とともに「その他」として、荷主等の関係者に対する周知、自家用自動車や個人事業主等、運用状況の把握等――について対応を明記した。荷主への周知では元請けや利用運送も含め関係省庁と連携し幅広く行う。「長時間労働の要因には取引慣行など個々の事業主の努力だけでは見直しが困難なものがある」とし、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」における長時間労働是正の努力義務も踏まえ、厚労省が新たに行う荷主対策を国土交通省とも連携して進める方向を示した。また改善告示は自動車運転者を労働者として使用する全事業者に適用されることから、白ナンバーや個人事業主にも国交省と連携して周知を図る。運用状況の把握では各部会で指摘された事項も明記。トラック労働者側の「実態調査は多様な勤務実態、業務特性を踏まえ、対象属性を分類した上で実施、脳・心臓疾患による労災支給決定事案も属性を分類した上で要因等検討を」や、使用者側の「長時間の荷待ちが改善告示の厳守に与える影響、行政による荷主対策の実施状況、商慣行の改善状況の把握」といった意見を踏まえ検討する。
●一般則適用へのロードマップを
3業態の労使委員がコメントし、トラックでは労働者側が実態調査について「課題があれば3年を待たすに実施し、明らかになった課題は早期の見直しを行う」ことや、3年後見直しへの検討の際には「一般則適用に向けたロードマップの提示」を求めた。使用者側は「厚労省の荷主対策の実効性を確保し早急に商慣習が変わることが重要」とした上で「労働環境改善に努めドライバーの健康と安全を確保し過重労働、過労死防止にトラック運送業界一丸で取り組む」とコメント。実態調査は「改善告示による荷主の行動変容を把握するにも荷主対策の実施状況、商慣行の改善状況を施策項目に加えてほしい」と要望した。厚労省の梶原輝昭審議官は「全体で大幅な改善の内容。12月に改正し関係通達も速やかに発出する。24年4月施行へ荷主への周知、要請等速やかに実施し事業者、労働者、関係者に広く浸透するよう進める」と述べた。藤村博之委員長は「一般則に向けて労使双方が知恵を出し合い進めることが必要。若い人たちに選ばれるには賃金面は勿論、普通の労働時間で働ける産業であること。道半ばだが大事な一歩としてとりまとめを位置付けたい」と総括した。