D・E評価の巡回重点化 全ト協理事会
衆参予算委で24問題、坂本会長「上げ潮の今こそ一丸で」
全日本トラック協会は2日の理事会で2023年度事業計画案、収支予算案などを承認した。事業計画では適正化事業の巡回指導で総合評価D・E事業者に対する重点的な取り組みや、外国人労働者導入に向けた検討策など盛り込んだ。坂本克己会長は今国会で2024年問題が取り上げられトラックへの理解が進むことに触れ「上げ潮の今こそ労働条件の改善と、真面目に取り組む事業者が持続可能となるチャンス、一丸となり前へ突き進もう」と呼びかけた。あいさつした坂本会長は衆参予算委員会の24年問題の質問に対する岸田総理、斉藤国交相の答弁からもトラックの厳しい状況に対し荷主に理解してもらうよう政府あげて対応していることに言及。「真面目なトラック事業者の言うことを聞いてもらう。そのためにも荷主の情報がないと動きようがない。遠慮せず提供してほしい」と求めた。1日に公正取引委員会が新たに適正取引推進アクションプランを策定するなど適正取引へ深掘りしており、荷待ちや荷役などあらためて不適切な荷主の情報提供を求めた。一方でトラックの多重構造については難しい問題としながら、「悪貨が良貨を駆逐しないよう、行政の力も借りながら抜本的解決を見出したい」。全ト協では適正化機関の原則2年に1回の巡回を、D・E評価事業者に対しては半年に1回の巡回とするなど、適正化事業における重点化施策をさらに踏み込む。外国人労働者の導入、活用についてはこれまでも検討を進めてきたが、「公共交通機関のバス、タクシー業界と歩調を合わせて取り組むこととなっており、各業界団体が23年度事業計画で外国人労働者の導入を盛り込むことを決め、全ト協としても4月からこの作業に入る」と述べた。 理事会では国土交通省の堀内丈太郎自動車局長、丹羽克彦道路局長が来賓あいさつした。堀内局長は「衆参予算委員会でトラックの価格転嫁状況、労働条件、標準的な運賃、荷主対策と質問がなされ追い風にある」とし、荷主対策ではこれまで働きかけ76件・要請3件を行っており「勇気をもってどんどん情報を寄せてほしい」と求めた。丹羽局長は「来年度予算を確保し、ミッシングリンクの解消、高速道の暫定2車線の4車線化に取り組む。事前に皆さんと調整を進めてきた高速道の深夜割見直しは令和6年からの運用となるが、使い勝手の良い内容としたい」など安全・安心で快適に使える道路行政に取り組む考えを述べた。