23年度業績予想、運輸・倉庫3割「増収増益」
TDB調査、販売単価上昇も人手不足懸念
2023年度の業績見通しは売り上げ拡大が続く一方、引き続きコストアップが収益を圧迫する。帝国データバンク(TDB)によると、23年度業績の「増収増益」予想は全体で26・4%、運輸・倉庫は29・8%で、10業界中2番目に高い割合だ。販売単価の上昇や経済活動の正常化などがプラス材料とみる。一方で下振れ材料として「人手不足の深刻化」が全体、運輸・倉庫ともに前回調査より大きく増えている。
TDBは3月の景気動向調査とあわせて、毎年業績見通しに関する企業の意識調査を実施、今回は1万1428社が回答(運輸・倉庫505社)。売上高・経常利益の対前年度比予想はグラフの通り。全体、運輸・倉庫とも「増収増益」の割合は前回より高く、「減収減益」の割合は低いが、とくに運輸・倉庫は「減収減益」が前回を5・6ポイント下回る15・5%と10業界で最も低い割合であり改善傾向がうかがえる。10業界で「増収増益」の割合が最も高いのはサービスで32・8%。次いで運輸・倉庫の29・8%。51業種では旅館ホテル(51・9%)、飲食店(44・8%)、繊維・繊維製品・服飾品卸売(388%)、情報サービス(38・0%)、娯楽サービス(36・6%)が上位と、コロナ禍制限の緩和による業績の回復が大きいようだ。また、調査からは売り上げ拡大も利益は全体で増益30・6%、減益30・4%と二極化の傾向。運輸倉庫は増益(34・2%)が減益(26・6%)を上回る。運輸・倉庫の業績改善予想の背景として、TDBでは販売単価の上昇やコロナ5類への移行で経済活動の正常化への動きが活発化することも好材料と分析する。コスト削減などの自助努力もプラスに向くが、人手不足による影響は注視する必要があるとしている。
●物価上昇も下振れ材料
業績見通しの上振れ材料は、全体では「個人消費の回復」が38・8%(複数回答、以下同)と3年ぶりにトップとなり、2年連続で最も高かった「感染症の収束」は28・0%で2番目だが前回より12・2ポイント減少。以下、「原油・素材価格の動向」(27・7%)、「所得の増加」(19・9%)、「公共事業の増加」(18。8%)。運輸・倉庫の上振れ材料は「原油・素材価格の動向」(43・2%)が最も高く、以下、「個人消費の回復」(42・8%)、「感染症の収束」(33・3%)、「人手不足の緩和」(23・2%)、「インバウンド需要の復活」(19・6%)。燃料は高止まりだが、対前年比ではプラス要因ともみている。下振れ材料も「原油・素材価格の動向」が全体(45・2%)、運輸・倉庫(62・4%)とも2年連続でトップ。次いで「人手不足の深刻化」が全体(33・9%)、運輸・倉庫(50・3%)。「原油・素材価格の動向」は前回より割合は減っているが、「人手不足の深刻化」は全体で10・2ポイント、運輸・倉庫で13・6ポイント上昇している。このほか「物価上昇(インフレ)の進行」も前回より下振れ材料にあげる割合が高い。