DX・標準化着実に進捗
物流大綱フォローアップ会合
国土交通省は総合物流施策大綱(2021-25年度)のフォローアップ会合を14日に行い、進捗状況を確認、意見交換を行った。昨年6月に閣議決定した大綱は最終年度までに達成するKPI(重要業績評価指標)を設定し、施策の進捗管理や検証を行うため年1回有識者・業界団体関係者による会合を行うこととしている。大綱の柱となる3テーマのうち、物流DX・標準化による最適化(簡素で滑らかな物流)は着実に進捗する一方、労働力不足対策(担い手にやさしい物流)や強靭化・持続可能性(強くてしなやかな物流)のテーマでは目標に対し改善が進まない項目もみられた。DX・標準化の関係項目では、事業者調査から自動化・機械化やデジタル化に着手する割合は5割、実現している事業者は3割だった。昨年10ー12月に関係団体を通じてオンライン調査を行ったもの。トラック、倉庫各約500社、内航海運約60社が回答した。標準化に向けた業種別アクションプラン・ガイドラインの策定は新たに3件(青果、紙加工品衛生用品、菓子)と最終目標(3件)をクリア、物流・商流データ基盤利用事業社数は10社(目標100社)となっている。一方、労働力不足対策の関係では、トラックドライバーの平均年間所得額・労働時間は目標の全産業平均に対し、21年度実績は20年度よりも水準を下げた。ホワイト物流推進運動の参加企業数は目標の3000者に対し現状1388者(大綱策定時1021者)。目標達成には年平均360者に対して190者ペースである。新設倉庫の荷待ち発生率は目標のゼロに対し21年度は約23%(20年度約25%)となっている。物流に関する広報の強化では、消費者調査から物流の現状に問題意識を持つ人がほぼ目標の100%近く、担い手にやさしい物流を実践する人(再配達頻度が3回に1回未満)も6割と目標の8割に近い。昨年度ウェブで実施したもので1000人の回答による。強靭化の関係ではモーダルシフトで鉄道輸送が21年度165億トンキロ(19年度184億トンキロ、目標209億トンキロ)、海運輸送が21年度356億トンキロ(19年度358億トンキロ、目標389億トンキロ)とコロナ感染の長期化や災害の影響もあり進展がみられなかった。
●より精緻な調査分析を
会合ではこれら各項目の進捗を確認し国交省、経産省、農水省が取り組み状況を説明。国交省では調査事業による24社のDX導入事例をまとめた「物流DX事例集」をホームページに公開し、これらを活用して労働生産性向上につなげることや、物流の広報では消費者、事業者アンケート調査とともにヒアリングを行い、来年1月頃にも広報戦略立案を実施する。意見交換では委員からKPIはより精緻な調査分析が必要との指摘があった。例として物流業の労働生産性は19年度実績の2257円/時(18年度2569円/時、目標18年度比2割増)を示し、数値は下がったが、内訳はトラックが下がり、倉庫と内航海運は上昇。一方でトラックの積載効率は20年度実績で38・2%(19年度33・7%、目標50%)と上昇、内航海運の1人時間あたり輸送量は20年度実績で3608トン(18年度4019トン、目標4919トン)と下げた。現状数値を示した対象が19、20年度と混在し、コロナ影響もあり的確に把握できない点もあった。一方で標準化のアクションプラン策定など好事例については効果を可視化し広く共有することや、施策面ではSIPの物流サービス、データ連携など革新技術の活用を、ホワイト物流については引き続き重要であり荷主を巻き込んだ施策の必要性など意見があった。