政権交代 どうなるトラック業界
三日月大造国土交通大臣政務官に聞く
100年に1度の経済不況に初めての政権交代と、まさに激動の1年だった2009年。経済、荷動きの動向とともに、民主党政権がトラック運送業界についてどのように考え、またどのような政策を打ち出そうとしているのかに関心が高まっている。2010年の新年を迎えるに当たり、国土交通省の政務3役でトラック運送事業を担当する三日月大造政務官に話を聞いた。
トラックを成長産業に 新政権下でビジョン構築
——トラック運送事業に対する現状認識から。
三日月政務官 景気、経済がまだ弱いので、トラック運送事業の現状はかなり厳しいと思う。6万数千社あり、中小企業が多く、元請・下請の重層構造もある。デフレ局面下で荷主のコスト引き下げ圧力がかかるなかで、燃料費も再び上昇しており、厳しいと思う。
——規制緩和の影響と対策をどう考えるか。
三日月 規制緩和してよかった点もある。一方で、小規模事業者が増えてルールを守らない事業者が増えた。悪貨が良貨を駆逐するような状態は看過できない。
前政権下ではあるが、小規模事業者の重点監査を行っているので、その結果を精査しながら対策を早急にまとめる必要がある。
トラック産業については、90年の規制緩和から20年、03年の法改正から10年近く経過しているので、今後の新たなトラック産業ビジョンを新政権下で構築していきたい。
その時にテーマになるのは、物流のグリーン化、エコ化だ。エコトラック導入、モーダルシフトも社会的要請が強く、ドライバー確保に苦慮する事業者が大変多い。こうした状況にどう対応していくのかを検討したい。。
また、高速道路料金施策も転換期だ。港湾との連携も大切だ。物流産業、トラック産業をいかに成長産業にしていくのかという観点で検討していきたい。
——元請と下請など取引関係が重層化するなかで、適正取引が課題となっているが。
三日月 非常に大きなテーマだ。重層化した産業構造の実態をもう少しつまびらかに把握、検証したいと思っている。
荷主から買いたたかれ、働く人や安全にしわ寄せがいっているのではないかとの懸念がある。荷主とのパートナーシップ会議も形骸化しているのではないか。もっと実効性ある荷主との関係づくりや価格設定のあり方を検討したい。
物流価格が上がれば国民が負担していくことになるので、社会全体のコンセンサス作りについても検証してみたい。
——エコカー補助や中小企業税制などトラック事業者向けの支援策のあり方について。
三日月 経済対策でのエコカー補助、中小企業投資促進税制もそうだが、物流を支える、とりわけ中小事業者の経営や設備投資を政策でいかに応援できるのかということについては、政権交代後の予算編成や税制改正に当たり、担当政務官として気を遣った。
とくに経済がこういう局面なので、例えば税制改正不況を起こしてはいけない、という思いで、取り組んだ。
適正化事業の視察にいった際、たまたまその運送事業者が都市部の細かい物流を担われている実態を知ったことが、財務当局との折衝で活きた。細かく動く事業者の実態把握を大切にし、応援できる制度作りに取り組みたい。その際、エコ化、グリーン化の視点を持ちつつ、業界を応援したい。
——新年の抱負は
三日月 09年は8月の政権交代から、9月の新内閣発足、補正予算見直し、概算要求見直し、税制改正、予算編成と慌ただしくやってきたので、2010年は腰を落ち着けて、あるべき姿に向けて政策作りができる、本当の意味で勝負の年、挑戦の年になる。
「悪貨が良貨を駆逐するような状態は看過できない」と語る三日月政務官