暫定税率維持「国民の理解得られる」
前原誠司国土交通相 新春インタビュー
2009年は世界同時不況に伴う景気の低迷、自民党政権の終焉と政権交代などまさに激動の年だったが、2010年の新年を迎えるに当たり、国土交通行政の展望について、前原誠司国土交通相に聞いた。
高速無料化 環境や交通機関に配慮
——新年の抱負は。
前原国交相 2010年の私の目標を4文字熟語でいうと「有言実行」だ。大臣になって100日余り経ち、これまで打ち出してきたことをどう実現していくかに重点を置きたい。
運輸分野では、港湾の選択と集中で、港の選別をさらに進める。現状を放置すると、釜山からフィーダー船で日本に荷物が来るという、ローカルな国になるおそれがあるので、日本が中継地としても栄えていくような選択と集中をしたい。
空港についても、新たな空港は原則作らず、着陸料引き下げなどの見直しを行って競争力を持った状況を作りたい。
とくに力を入れるのは、羽田の24時間国際拠点空港化だ。関西3空港についても、関空をいかに目一杯使うかが大きな課題となる。
——暫定税率の実質維持について
前原 公約では、暫定税率は廃止するとしていたが、最終的に原則維持することになった。マニフェストを変えたことに対する説明はしっかりしなければならない。
我々が野党時代に、1ヵ月間だけ暫定税率を下げた時期があった。あの時はレギュラーガソリンで180円ぐらいに高騰していたが、今は120円ぐらいに落ち着いている。ガソリン価格が当時と大幅に違う点を国民に説明する必要がある。
2点目は、税収の落ち込みがこれほど大きくなるとは、マニフェストを作った段階では予想できなかった点だ。46兆円程度の税収見込みが40兆円を割り込んで、一説には37兆円といわれる。無駄を削るにも限度があるということで、緊急措置として、申し訳ありませんがお願いしますと話せば、多くの国民の理解が頂けると思う。
——高速道路無料化について
前原 来年度予算では6000億円を要求したが、これが1000億円に減った。
予算が削られたことにより、むしろ他の交通機関の心配の度合いは薄れたのではないか。とはいえ、影響が出てくるところへの目配りは大きなポイントとなる。
無料化の社会実験では、ETC千円や夜間割引とは違ったかたちの社会実験を行う。元々無料化の趣旨は、物流コストを下げて、ひいては国民経済にプラスになる状況を作り出すことだったが、環境や他の交通機関への配慮を兼ね合わせたものにしたい。