荷主責任を明確化

国交省 海コン安全確保へC案

 国土交通省は16日、国際海上コンテナ安全確保法案で新たなC案をまとめ、荷主やトラック事業者ら関係者で構成する安全対策検討会議に提示した。中身がわからない、運ぶことが不安なコンテナを公道に出さないことや、荷主責任の明確化を図ることなどを基本的な考え方に据え、品目情報の伝達を荷主や関係者に義務付け、安全に運ぶ義務や責任を関係者間で共有させることが内容。同省では3月12日までに法案を閣議決定し、国会に提出する考えだ。

海コン安全対策検討会議

会議終了後、三日月政務官は「法案提出へ大きく前進した」と話した(2月16日)

 「国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案(仮称)」(C案)の骨子要旨は次の通り。
 1.目的
 この法律は、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の特殊性にかんがみ、受荷主等にコンテナ情報の伝達を義務付ける等必要な措置を定めることにより、安全の確保を図ることを目的とする。
 2.輸入コンテナに関するコンテナ情報の提供等
 ①受荷主は、コンテナ積付指針に従って、外国の発荷主に対して貨物の適切な積付けが行われるよう依頼しなければならない。
 ②受荷主は、外国の発荷主に対し、コンテナ情報(貨物の重量、積付けの状況、コンテナの種類・記号・番号・自重等)の提供を依頼しなければならない。
 ③受荷主は、品目情報と②で取得したコンテナ情報を陸送の手配を依頼する海貨事業者等に伝達しなければならない。
 ④海貨事業者等はトラック事業者に対し、トラック事業者は運転者に対し、当該コンテナに関して取得した情報をそれぞれ伝達しなければならない。
 ⑤船社又は港湾荷役事業者は、トラック事業者から求めがあったときは、知り得た範囲内で、速やかにコンテナ情報を提供するよう努める。
 ⑥受荷主は、貨物重量情報が取得できなかった場合には、当該コンテナの重量の測定及びその結果の運転者への伝達について必要な措置を講じなければならない。
 ⑦コンテナ取扱港湾の港湾管理者は、必要と認める場合には、重量計の整備について、港湾の整備に関する計画に定めなければならない。
 ⑧国土交通大臣は、正当な理由なく受荷主が⑥の措置を講じていないと認めるときは、受荷主に対し、必要な措置をとるよう勧告できる。
 ⑨国土交通大臣は、正当な理由なく⑧の勧告に従わなかった受荷主に対し、その勧告に係る措置をとるよう命令できる。
 ※情報の伝達が行われないことにより安全確保に支障が生じるおそれがない一定のコンテナ運送については、①~⑨の適用除外とする。
 3.輸出コンテナに関するコンテナ情報の提供等
 ①発荷主は、コンテナ積付指針に従って、貨物の適切な積付けを行わなければならない。
 ②発荷主は、コンテナ情報(貨物の品目、貨物の重量、積付けの状況等)を、陸送の手配を依頼する海貨事業者等に提供しなければならない。
 ③海貨事業者等はトラック事業者に対し、トラック事業者は運転者に対し、当該コンテナに関して取得した情報をそれぞれ伝達しなければならない。
 ※情報の伝達が行われないことにより安全確保に支障が生じるおそれがない一定のコンテナ運送については、①~③の適用除外とする。
 4.不適切状態にある輸入コンテナの発見及び是正
 ①トラック事業者は、2で取得したコンテナ情報等により輸入コンテナが不適切状態にあり、又はそのおそれがあることを知ったときは、受荷主に対し、その確認又は是正のため必要な措置を講じるよう求めなければならない。
 ②①の求めを受けた受荷主は、当該輸入コンテナについて、不適切状態の是正等のために必要な措置を講じなければならない。
 ③②の輸入コンテナを取り扱う海貨事業者、船社、港湾荷役事業者、ターミナルオペレーターその他の関係者は、受荷主が講じる②の措置に必要な協力をするよう努める。
 ④国土交通大臣は、不適切状態にある輸入コンテナの発見・是正に関する措置の適切かつ円滑な実施を図るために必要な指針を定める。
 ⑤地方運輸局長、地方整備局長、港湾管理者、受荷主、海貨事業者、トラック事業者、労働組合、船社、港湾荷役事業者、ターミナルオペレーターその他の関係者は、輸入コンテナ安全対策協議会を組織する。
 ⑥協議会は、④の指針に即し、かつ、港湾の実情に応じて、当該港湾における不適切コンテナの発見・是正のために関係者が取るべき措置について定めた発見是正要領を作成する。
 ⑦協議会の構成員は、発見是正要領に従って必要な措置を実施しなければならない
 ⑧協議会は、協議会の構成員以外の者に対し、必要な協力を要請する。
 5.トラック事業者の順守事項等
 ①トラック事業者は、過積載・偏過重等の状態にあるコンテナの運送を運転者に命じ、又は容認してはならない。
 ②トラック事業者は、安全運転指導指針に従って、コンテナ貨物自動車の構造上の特殊性を踏まえた安全運転の指導を運転者に行うとともに、6により運転者が順守すべき事項について適切に指導しなければならない。
 ③トラック事業者が①②に違反した場合には必要な安全確保のための命令又は行政処分を行う。
 6.運転者の順守事項
 運転者は、安全運転指針に従って、コンテナの荷台への確実な固定、取得したコンテナ情報を踏まえた安全な速度での運転その他のコンテナ貨物自動車の運行の安全を確保するための事項を順守しなければならない。
 7.荷主等に対する措置
 ①国土交通大臣は、5①の違反を理由としてトラック事業者に5③の処分等を行う場合、違反行為が荷主又は海貨事業者等の指示に起因するものである等と認められるときは、当該荷主等に対し再発防止措置をとるよう勧告できる。
 ②国土交通大臣は、①の勧告を受けた荷主等がトラック事業者に対して取引の停止その他の不利益な取扱いをしていると認めるときは、当該荷主に対し、その不利益な取扱いをやめるよう勧告できる。
 8.国の援助
 国は、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保を図るため、必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努める。
 9.報告徴収・立入検査
 国土交通大臣は、荷主、海貨事業者等若しくはトラック事業者に対し必要な報告を求め、又はこれらの者の事務所等に立入検査できる。
 10.罰則
 2②~④⑨、3②③、5③に違反した者又は9の報告・検査に応じなかった者は、罰金等に処する。
 11.施行期日
 ①この法律は、公布日から1年6ヶ月以内に施行する。ただし、2⑥⑧⑨の規定は同3年以内に施行する。
 ②2⑥⑧⑨の規定は、公布日から5年以内に国土交通大臣が指定する港湾ごとに指定日から適用する。