高速割引に「小出し」感
国土交通省と高速道路保有・債務返済機構、高速道路会社6社が、第2次補正予算による高速道路料金値下げの実施内容を発表した。
一般国民的には、土日祝日の「どこまで乗っても1000円」が注目され、カー用品店はETC車載器を求める人々で賑わっているという。春休み最初の週末である28日から実施されるが、システムの改修が間に合わず、例えば浜松から東京を抜けて福島へ行くようなケースでは、当初は地方部の上限1000円が東名側と東北道側の両方にかかるため、首都高速と東京近郊の通行料金を合わせると普通車で3950円となる。ゴールデンウィーク初日の4月29日には、地方部料金を通算1000円とし、2950円でいけるようになるという。
いずれにしても、「定価」だと1万1850円かかるものが、相当安くなることは間違いない。東京湾アクアラインも本四連絡道も上限1000円だ。いずれも普通車以下の休日料金だが、貨物車(4ナンバー)も対象となる。
料金の大幅な引き下げにより、相当の混雑も予想される。高速道路会社各社では、3月末以降、サービスエリアでの仮設トイレ設置など、お盆の帰省シーズン並みの体制をとる予定だという。13日の記者発表では、ETCシステムがダウンするのではと懸念する記者も少なくなかった。
一方、物流効率化への配慮である。平日の割引は、地方部の高速道路と本四連絡道路で全時間帯に3割引以上の割引が導入される。とくにこれまで割引がなかった本四連絡道への割引導入は大きい。地方部高速道の通勤割引と深夜割引(いずれも5割引)は従来通りだ。昼間は小口短距離輸送を支援し、夜間は長距離輸送を支援するとの考え方によるものだ。
ただ、昼間(午前9時〜午後5時)の3割引は、100㌔㍍以内の利用に当面限定される。100㌔㍍超の利用でも100㌔㍍分の割引が適用されるのは7月8日頃以降となるという。
さらに、物流事業者向け割引の拡充も図られる。首都高速・阪神高速への大口割引創設は朗報だ。NEXCO系3社の大口割引も適用条件が多少緩和される。ただ、その緩和内容は、組合などの月間利用額が500万円から450万円に、車両1台あたり平均利用額が3万円から2万7千円へと1割引き下げられるに過ぎず、その適用割引率も5%だ。
割引適用契約者数が急激に減少している現状を考えれば、5%であっても割り引かれることは歓迎されるが、乗用車の「1000円」と比べると、小出しの感はぬぐえない。
(日本流通新聞2009年3月16日付)