さらなる景気対策に期待
全日本トラック協会の予算総会が19日開かれ、来年度の事業計画と予算が決まった。中西会長はあいさつのなかで、急激な景気の悪化に伴う荷動きの減退を受けて、09年度補正予算を含めた追加景気対策を強く要望していくことを強調した。
13日には会長自らが自民党に出向き、保利政調会長に思い切った追加経済対策の実施を要望した。燃料価格は落ち着きを取り戻したが、肝心の荷物がないのではいくら高速道路料金を安くしても効果は限られてしまう。自民党への要望は、生産、流通、消費の回復・拡大にむけた追加的景気浮揚策の実施により、輸送需要の創出・喚起を求めたものだ。
要望では同時に、貸し渋りの防止など資金繰り支援策の強化、雇用調整に対する助成措置拡大と手続きの簡素化、高速道路料金への営業車特別割引(全面半額化等)も求めた。
国土交通省が18日開催した第3回トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議でも、荷主、運送事業者から厳しい景況感が報告された。各企業からは、3割減、5割減といった厳しい数値があげられ、なかには8割減というすさまじい荷動きの減少が報告された。
世界的な販売不振にあえぐトヨタ自動車からは、昨年12月以降の生産台数を前年比5割減少させていることが報告され、在庫調整が一巡する5月以降も同3割減のペースにとどまるとの見通しが示された。メーカーが減産すれば、中間財を扱う素材メーカーも打撃を受ける。旭硝子と三菱化学は、自動車、家電業界の在庫調整終了に期待を寄せた。
生産、販売が激減すれば、当然荷動きも減少する。日本通運は「昨年11月にいきなり劇的に数量がダウンし、1〜2月は陸海空すべてのモードで2ケタ減。なかでも航空と海運の国際貨物は50%を超える減だ」とし、かつて経験したことのない荷動きの激減に、戸惑いの表情を隠さなかった。
国内トラック輸送では、長距離輸送の上りと下りの荷物バランスがとれず、採算が悪化しているとの指摘もあった。
パートナーシップ会議では、トラック運送業界の適正取引への取り組みの一環として、東京都トラック協会による原価計算への取り組みも紹介された。説明に立った綿引専務理事は「不況の時こそ原価意識を強く持ち、車両1台当たりの生産性を高めることが肝要だ」と原価計算の意義を強調した。
原価計算に基づく事業経営を通じて業務の効率化を図り、思い切った追加景気対策の実施により、景気が回復する時を待ちたい。
(日本流通新聞2009年3月16日付)