「環境」てこに景気浮揚を
6月5日は環境の日だ。72年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めており、日本では環境基本法で「環境の日」を定めているという。
さらに91年からは、6月の1ヶ月間を「環境月間」と定め、政府や地方公共団体などが中心となって全国で様々なイベントが行われている。
09年度補正予算が成立し、環境対応車への買い換え・購入補助制度、いわゆる「エコカー補助」が動き出した。今月19日から申請受付を開始するもので、環境対策と景気対策を効果的に実現することが狙いだ。
トヨタ自動車が先月発売した新型プリウスの販売が好調であるなど、乗用車購入のインセンティブとしてクローズアップされることが多いが、トラック・バスの重量車に対しても、手厚い補助が行われる。
乗用車に比べ車両価格が高いこともあって、小型トラックで20万〜40万円、中型トラックで40万〜80万円、大型トラックで90万〜180万円の補助が受けられる制度だ。補助額の差は、古年式車の廃車を伴うかどうかだ。車齢13年超車を廃車して新車(新長期規制適合車)に買い換える場合には、大型車なら180万円の補助が受けられる。
廃車を伴わない場合の補助は、2015年燃費基準達成かつNOxまたはPM10%超過低減のトラック・バス購入が対象で、廃車を伴う場合に比べて半額の補助が行われる。
東京など大都市部はNOx・PM法の代替規制により比較的新しいトラックが多いが、地方部では相当数の古年式車が使用されていると見られている。ただ、補助金の効果については見方がまちまちで、「これで新車購入が増えるとは思えない」といった感触がある一方で、「大手は手ぐすねをひいて待っている」との声も聞こえてくる。
その大手事業者にとって朗報なのが、グループ内企業間での廃車と購入のやりくり容認だ。国土交通省が検討しているもので、同一の親会社が100%出資している子会社間であれば、一方の所有車両で古年式車を廃車し、もう一方の会社が新車を購入するというやり方でも「同一法人」とみなして補助対象とする方針だ。親会社と子会社の間でも同様のやり方を認める考えで、同省が近くまとめる交付要綱に盛り込まれる見通しとなっている。
自動車は非常に裾野が広い産業だ。自動車の不振が経済全体に与える影響は大きい。「環境」をてこに景気が浮揚することを期待したい。
(日本流通新聞2009年6月8日付)