政治には信頼が必要だ
全日本トラック協会の決算総会が開かれ、中西会長が再任された。総会後の懇親会には、国交相として初めて金子大臣が出席して祝辞を述べたほか、春田事務次官、宿利国土交通審議官ら幹部も顔をそろえた。金子国交相は、祝辞のなかで、お盆の高速道路料金で「乗用車千円乗り放題」を平日に拡大することに伴い、トラックの割引も拡充する考えを示し、トラック運送業界に配慮を見せた。
自民党トラック輸送振興議員連盟(トラック議連)からも、会長である古賀選挙対策委員長をはじめ、細田博之党幹事長、石原伸晃党幹事長代理、藤井孝男議連副会長、渡辺具能議連事務局長ら国会議員が多数駆けつけた。
総選挙近しである。金子国交相のあいさつ途中で、会場のトラック事業者から「頼むで」と声がかかると、国交相は「まかせといて下さい。だからこそ自民党を応援して下さい」と応じる一幕もあった。
国交相はまた「古賀先生が大臣室に来て、今必要なのはこれだ、と予算でびっくりするほど大きな要請があった。よく財務省も飲んでくれた」と数次の補正予算で総額200億円規模という、かつてない大規模な補助予算がトラック業界向けに認められた経緯を紹介した。
補正予算による中小トラック構造改善支援補助金、高速道路料金引き下げなどトラック業界に対する支援策に、自民党、とりわけトラック議連が果たした役割は小さくない。
古賀議連会長は「当選させて頂くことで責任を負わされ、トラックのために働くという繰り返しにより、信頼が生まれる」と業界と政治との関係を説いた。
政権交代を旗印に民主党が攻勢を強めているが、懇親会であいさつした細田幹事長は「某党は暫定税率廃止と高速道路無料化を政策として掲げるが、財源のつじつまが合わないから暫定税率廃止はしばらく待とうとか、高速道路無料化もやめるかなどといっている」と批判。「昨年は民主党がよいかなと一時的に思われた方もいるかもしれないが、気の迷いもある。信頼できるのは、自民党、トラック議連ではないか」と述べると、懇親会会場から拍手がわいた。
6月25日付の朝日新聞によれば、民主党は公約実現のための財源を当初より4兆円圧縮、ガソリン税などの暫定税率即時撤廃は先送りし、高速道路無料化も初年度は一部実施となりそうと報じている。では、去年の「ガソリン国会」でのあの騒ぎは何だったのか。政治に最も必要なのは、信頼ではないのか。
(日本流通新聞2009年6月29日付)