大型免許減少の衝撃

全日本トラック協会がまとめた、大型免許保有人口の将来予測は、60歳未満の免許保有者が22年後には44%減るという衝撃的なものだ。人口の減少、少子高齢化の進展、大型免許離れに加えて、大型免許の厳格化という免許制度改正が影響してくるためだという。
 大型免許保有者数は、97年から08年までの10年間でもすでに1割減少しており、とくに18〜24歳は6割減、25〜29歳が4割減、30〜34歳が6%減となり、34歳以下の世代で減少が著しい。
 07年6月の中型免許創設・大型免許厳格化という免許制度の改正以降、この傾向はいっそう顕著なものとなっており、08年の大型免許保有者数は、18〜24歳の層で前年比1万8322人減の5万6893人、25〜29歳の層で同2万2391人減の20万6064人、30〜34歳では同3万4994人減の37万8962人だ。新制度への移行に伴い、普通免許取得から大型免許取得までの期間が、従来の2年間から3年間に延長されたことの影響と見られている。
 これに対し、60歳以上の大型免許保有者数は、この10年でも47万1千人から139万5千人へと3倍に増加しており、今後は12年後に87%増の261万1千人に、22年後には今の2・5倍超の355万7千人にまで増えると見込まれている。
 60歳未満の大型免許保有者数は、12年後に24%減、22年後には44%減少する見込みであり、60歳未満と60歳以上の保有者数は2019年を境に逆転する。
 トラック運送事業に限らず、産業界では今後、少子高齢化により若年労働力の確保と高齢者の活用が課題となる。ただ、トラックドライバーの仕事は、体力や運動能力が求められ、反射神経や視力なども重要となるため、高齢者の活用には自ずと限界がある。
 60歳未満の大型免許保有者を増やすためには、免許取得機会の増大や取得費用の軽減などが考えられる。
 各都道府県トラック協会では、福島、埼玉、神奈川、石川、三重、愛媛、福岡の7県ト協が大型・中型免許等の取得助成制度を独自に行っている。全ト協でも免許取得助成を検討しているが、来年度以降の交付金制度の行方が定まらないため、検討が進まないのが実情だ。
 大型免許取得が可能な教習所の減少も保有者数の減少に拍車をかけよう。埼玉県ト協では教習コースを備えた独自の教育研修センターを整備・運営しているが、これとて交付金制度がなければ運営を続けることは不可能だ。交付金制度の存廃問題がここにも影を落としている。

(日本流通新聞2009年9月14日付)