交付金、営自格差に依拠

全日本トラック協会が来年度税制改正で、軽油引取税の廃止を含む抜本見直しを求めることになった。道路特定財源ではなくなり、受益と負担の原則が崩れたためだ。一般財源化された自動車取得税、自動車重量税についても廃止を求める。
 燃料高騰下の昨年は、「軽油引取税の緊急凍結または抜本的軽減」を要望したが、本則税率も含めて廃止を要望するのは初めてのこと。民主党が公約に掲げる「暫定税率廃止」を上回る要望として注目される。
 「廃止を含む抜本的見直し」とは、仮に廃止が困難な場合には、船舶や鉄道・軌道用車両、農林業用機械への免税措置を廃止するなどの見直しを求めるという意味だ。
 軽油引取税は全額が道路整備に充当されていたため、道路を使用しない船舶や農業用機械が使う軽油に対しては免税措置がとられている。ただ、一般財源化によりこうした免税措置は理屈が立たなくなった。一般財源なのだから、自動車だけが負担するのは不公平、というわけだ。
 全ト協では、暫定税率廃止後の軽油税やガソリン税を温暖化対策税として衣替えする動きに対しても、自動車だけに負担を求めるのはおかしいとして、反対していく考えだ。
 軽油引取税の廃止を求める一方で、運輸事業振興助成交付金は継続を求める。交付金制度は、76年度税制改正で軽油引取税に暫定税率が上乗せされた際、創設された制度だが、全ト協では、暫定税率の有無ではなく、営自格差が交付金の根拠だとして制度の継続を求める。
 営業用トラックは、自家用トラックに比べ、輸送効率(実働1日1車当たり輸送トンキロ)が29倍も高いため、環境負荷の低減、消費エネルギー削減などの観点から、営自格差、あるいは営自転換が政策としてとられてきた。軽油の税率引き上げの際も、徴税技術上の問題から自家用との間に税格差を設けられず、交付金というかたちで還元することになった経緯がある。
 高速道路料金については、民主党が公約した無料化に対し、トラック業界内ではこれを歓迎する意見と、渋滞の激化で運行が長時間化し、到着遅延の発生を懸念する慎重意見との賛否両論がある。地域の高速道路交通量などによっても受け止め方は異なり、特に大動脈である東名高速沿いの地域では慎重論が根強い。
 前原国交相は、フェリーやバスなど他の交通機関への影響も考慮し、時間をかけて慎重に進める考えを示しており、全ト協の要望も来年度は「大幅な引き下げ」と「営業車特別割引の創設」を求めるにとどめている。

(日本流通新聞2009年9月28日付)