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日本流通新聞4月25日付紙面から

社説:東北の大型車無料化を

 被災地の復旧・復興に向けた第1次補正予算が閣議決定された。予算規模は4兆円で、国債は発行せず、ほとんどを既存予算の減額で賄う。
 減額対象には高速道路の無料化社会実験も盛り込まれ、実験の一時凍結により1000億円が捻出されることになった。現在無料となっている37路線50区間は6月中に有料となり、今年度新たに追加される予定だった北陸道などでの大型車無料化実験も取りやめとなる。
 高速道路料金割引についても、今年度導入予定だった乗用車の平日上限2000円を見送るほか、休日上限1000円も6月中に廃止する。今後3年間これらの割引に充てる予定だった2500億円を補正予算の歳入に繰り入れた。
 トラック運送事業者から見れば、一部の無料化路線や新たに導入する予定だった大型車無料化実験が中止となるのは残念だが、渋滞の元凶だった乗用車の上限1000円廃止は歓迎すべきだろう。また、上限料金制の廃止に伴い、来年度以降見直される可能性のあったマイレージ割引が3年間継続されることになった。利用分量が少ない事業者など、トラック業界でも同割引の利用者は少なくなく、朗報と言えよう。
 与党などで検討されている東北、北関東の高速道路無料化については大畠国交相も前向きな姿勢を示しており、実現すれば東北経済の復興に弾みがつく。渋滞が懸念されるのであれば、大型車だけでも無料化し、被災地の復興を後押しすべきだ。
 一方、震災関連税制では、ガソリン高騰時の減税策である「トリガー条項」が凍結されることになった。被災地の復興経費など財政需要が増すなかで、ひとたび発動されれば最低でも4600億円、1年続けば1・8兆円の歳入が見込めなくなる。発動されるとガソリンで1㍑当たり約25円、軽油で同約17円価格が引き下げられる。財務省は、急激な価格変動で燃料需給が逼迫し、被災地が混乱するとの理由で廃止を求めたが、この理由の評判が悪く、民主党内では異論が相次いだ。
 被災地、被災者の現状を考えれば、復興財源確保のために凍結もやむを得ないかもしれないが、民主党議員から相次いだ「被災地のガソリンが200円になってもよいのか」との指摘には理がある。復興物資輸送の障害にもなりかねない。
 経済産業省は21日、現在実施中の石油民間備蓄25日分の引き下げを1ヵ月延長したが、少なくとも需給を締め付けるようなことはせず、これをさらに延長して現在の水準を維持するなど、燃料価格の抑制に英知を絞って欲しい。

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