社説:交付金法制化で税の公平性担保を
運輸事業振興助成交付金の交付等に関する法律案骨子が民主党の総務部門会議で了承された。今週以降党内手続きを進め、議員立法で今国会への提出をめざすことになる。
昨年末に閣議決定された2011年度税制改正大綱で、法制化の方針が示されたことを受け、党税制改正プロジェクトチーム温暖化対策税検討小委員会の中塚一宏委員長が中心となり、調整が進められた。当初、党総務部門会議で検討されたが、衆院総務委員会での処理法案数が多く、一時は国土交通委員会での審議も検討され、国土交通部門会議でも議論があった。
ただ、法案の内容を巡り総務省側が難色を示していたほか、3月11日には東日本大震災が発生し、法制化に向けた動きも停滞した。
一方で、震災後の需給逼迫も手伝ってガソリン・軽油価格が急騰。ガソリン高騰時に旧暫定税率相当分を引き下げる「トリガー条項」の発動が視野に入るようになった。震災の復旧・復興に多額の財源が必要となるなかで、税収に大きな穴を空けることになる「トリガー条項」に財務省が懸念を示し、震災対応税制改正で「トリガー条項」が凍結された。
民主党の看板政策のひとつでもある暫定税率廃止の代替措置ともいえるこの「トリガー条項」を凍結する一方で、せめて交付金の法制化を進めるべきとの機運が民主党内で高まり、その後は企業団体対策委員会(山根隆治委員長)も加わって、総務部門、税制改正PT、トラック議連の4者間で調整が進められ、ようやく総務部門会議で了承を得るに至った。
そもそも、交付金は軽油引取税に暫定税率を創設した際の営自格差だ。いわば税の還付的な性格を持つ。税の還付であるからには公平性が担保されなければならず、県によって対応が異なるようなことがあってはならない。しかも還付されている交付金額は軽油1リットル当たりに換算してわずか1円分だ。
交付金法制化は、これまで事務次官通達や副大臣通知に依っていたものを法律に格上げするものであり、これにより制度としての建て付けが整い、正当性を増すことになる。
とはいえ、法制化はまだ緒についたばかりだ。今週以降、拡大政調役員会、議員立法等調整チーム、党役員会での審査を経て、法案として具体化される。これと平行して野党各党にも協力を呼びかけ、全会一致となって初めて委員長提案として国会に提出されることになる。
税の公平性を担保するためにも、早期の国会提出、成立を期したい。