社説:交付金法制化 超党派で早期成立を
運輸事業振興助成交付金の法制化に、自民党が賛成することになった。6日に開かれた、同党総務部会・国土交通部会・税制調査会の合同会議では、「大阪府知事が100%カットするなどということはけしからん」などと法制化に賛意を示す意見が相次いだ。
この問題に対する自民党の窓口的役割を果たす赤澤亮正総務副部会長は「我々が長年できなかったことを法案にするものだ。前向きに評価するし、協力したい」と民主党の法制化への取り組みを高く評価した。ねじれ国会では野党の協力がなければ法案の成立は見込めないため、自民党の協力は不可欠の要素だ。
一方、6日の自民党合同会議では、都道府県に対する交付金の交付を「努力義務」とした民主党案に対し「少し弱いのでは」などとより実効性を高めるべきとの意見が大勢を占めた。
この点について赤澤氏は「本則では努力義務だが、附則で『法律の施行状況について検討を加え、必要があればその結果に基づき必要な措置を講ずる』としている。まず努力義務を課して、うまくいかない場合はより強いかたちにするというのが義務を課す場合のあるべき姿だ」と述べて努力義務にとどめている点は容認する考えを示した。
民主党案では、都道府県に対し「交付するよう努めなければならない」としているが、この部分はこのままにして、より実効性、透明性が高まる方策を探り、自民党として修正案を提案していく方針だ。
赤澤氏はさらに「いくら払われたかが把握されているかなど、より実効性、透明性を高めるための修正を検討し、成案を得たい」と述べ、都道府県から毎年度の交付状況について報告を求める規定を設けることなども検討していることを示唆した。
交付金の交付額減額の動きは、大阪府が今年度100%削減を打ち出すなど、減額県は22道府県におよび、削減額は20億円に達しようとしている。軽油引取税に営自格差を設けることの代替案として創設された交付金には、税の還付的な性格があり、その税の還付に各県で差が出るという異常な事態に至っている。
赤澤氏は「今国会成立をめざす」と明言しており、今後与野党間での調整が進むことが期待される。
延長国会の会期は8月31日までだ。ただ、不測の事態に備えて、できるだけ早く与野党協議を調え、法案の国会提出にこぎ着ける必要がある。国対ベースでは駆け引きもあろうが、異常事態を一刻も早く正常化するため、超党派による早期の法案成立を期待したい。