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日本流通新聞7月18日付紙面から

社説:宅配便 ネット通販でさらに進化を

 国土交通省のまとめによると、昨年度の国内宅配便取扱個数が3年ぶりに増加に転じた。3月に震災の影響が見られたものの、インターネット通販の需要拡大で一般消費者の利用が増えたためだ。
 宅配便は、1976年にヤマト運輸が「宅急便」を開始し、その後同業各社が追随した。
 国土交通省が統計の公表を始めたのは1984年度からで、84年度に3億8490万個だった宅配便取扱個数は、2007年度には32億2708万個へと23年間で8.4倍に拡大した。
 その後2008年秋のリーマンショックにより、法人顧客を中心に荷物が減少し、08年度は0.6%減とわずかではあるが、宅配便が始まって以来初めて減少した。
 2009年度も2.2%減と2年連続で減少となり、「右肩上がり」のグラフが崩れ、宅配便市場も曲がり角を迎えたかに見えた。
 ところが翌2010年度は、2.8%増の31億9329万個となり、再び増加に転じた。背景にあるのはインターネット通販の拡大だ。
 経済産業省によると、2010年の消費者向け電子商取引(BtoC EC)市場規模は前年比16.3%増の7.8兆円で、百貨店売上高(6.3兆円)を抜いた。小売業・サービス業での商取引に占める電子商取引の割合であるEC化率は0.4ポイント増の2.5%へと上昇している。
 2010年の動向を業種別に見ると、小売業のうち、「衣料・アクセサリー」は市場規模が前年比30.2%増の1120億円へ、「医薬化粧品」が38.7%増の3120億円へと高い伸びを示して拡大している。
 EC化率はすべての業種で上昇しており、最も高い「宿泊旅行」「飲食」を合わせた市場規模は1兆1010億円、EC化率4.7%となっている。
 最近では、スマートフォンからの購入も増えている。日本通信販売協会によると、購入方法として「パソコンによるインターネット」経由が52.8%と最も多いが、「携帯電話、携帯端末によるインターネット」利用が2008年の10.3%、2009年12.8%、2010年16.1%と着実に増加している。
 購入商品は「婦人衣料品」34.9%、「化粧品」29.8%、「健康食品」26.5%がトップ3だ。
 スキー、ゴルフなどから始まり、クレジットカードなど決済手段の多様化、通販の拡大など人々のライフスタイルの変化とともに進化を遂げてきた宅配便だが、ネット通販の一層の拡大にスマホの普及という新たな要素も加わり、さらに拡大、進化が期待される。

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