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日本流通新聞8月22日付紙面から

社説:交付金法案は大きな一歩

 都道府県からトラック、バス両協会に交付される運輸事業振興助成交付金の交付をより確実にするための「運輸事業の振興の助成に関する法律案」が衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。
 大阪府をはじめとする地方自治体の間で、交付額を減額する動きが拡大していることなどを受け、これまで通達で定めていた交付金制度を法制化するものだ。11日の衆院総務委員会で答弁した片山善博総務相は「通達をやめて法制化されることになり、地域主権改革の観点から言うと一歩前進だ」と評価している。
 法案は、民主党が6月に原案をとりまとめて以降、7月20日に自民党が対案をまとめ、その後両党を中心に公明党も交えた水面下の協議が進められていた。総務委員会の理事レベルでの協議で、民主党から稲見哲男筆頭理事と小川淳也委員、自民党から石田真敏筆頭理事と赤澤亮正委員、公明党が西博義理事。8月の上旬には3党間で「流産はさせない」と今国会で成立させることで合意していた。
 法案の最大の焦点は、都道府県による交付金の交付を努力義務とするか、義務とするかだった。民主党原案は努力義務で、自民党案は義務。民主党内にも義務化を主張する声があり、最後まで調整が続いたが、民主党だけでなく公明党も努力義務を主張したため、努力義務で決着した。
 ただ、努力義務で法律を施行し、なお地方自治体の減額等が続くような場合には、附則で「国はこの法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき必要な措置を講ずる」とした見直し規定を発動する。
 そしてこの「必要な措置」の内容を示したのが、同時に採択された11日の総務委員会決議だ。決議には2つの措置が盛り込まれた。1つは「運輸事業の振興助成の手法のあり方」で、これは場合によっては国が直接交付することもあり得るという意味。もう1つは「営業用車両に係る軽油引取税の税制上の取り扱い等」で、こちらは、営業用車の軽油について軽減税率を設けることもあり得る、という意味だ。
 2000年に通達行政が廃止され、その後制度の不確実性が指摘され、昨年の事業仕分けでも制度の「建て付け」の悪さが論点の1つとなった。
 その交付金制度が法案となり、衆院を通過し、24日にも成立する見通しとなった。努力義務とはいえ、確実な制度とする大きな第一歩だ。法律に基づく制度となる交付金を業界も有効に使いたい。

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