日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞9月5日付紙面から

社説:自動車の過重税負担正せ

 暦は早9月となり、税制改正のシーズンを迎えた。日本自動車工業会や全日本トラック協会など自動車関連21団体で構成する「自動車税制改革フォーラム」は、自動車関係諸税の簡素化・負担軽減に関する署名活動を開始した。署名活動は9月上旬から10月下旬にかけて行い、同フォーラムが取りまとめて政府・与党に要望活動を行っていく予定だ。
 来年度税制改正ではとくに、自動車の車体課税を抜本的に見直す方針となっているため、同フォーラムでは自動車取得税と自動車重量税の廃止など車体課税の軽減を前面に打ち出している。
 自動車には、取得・保有・走行の各段階で9種類もの税金が課されており、ユーザーの負担額は計約8兆円に及ぶ。2011年度の租税収入全体の10.1%を占める規模だ。とくに取得・保有段階での税負担は欧米先進国の2〜49倍に達し、極めて過重な税負担となっている。
 自動車関係諸税のうち、自動車取得税、自動車重量税、ガソリン税、軽油引取税は、道路特定財源から一般財源化され、その課税の根拠を失っている。軽油引取税もその一つだが、一方で農業用や船舶用などは現在でも課税免除となっており、税の公平性に著しく反する現状となっている。
 さらに、本則税率を2倍も上回る暫定税率は、「当分の間」税率として維持され、一般財源であるのに自動車ユーザーが過度の負担を強いられている。このため同フォーラムでは、一般財源化により課税根拠を喪失した税の廃止とともに、ガソリン税、軽油引取税に上乗せされた旧暫定税率の廃止を求めている。
 全日本トラック協会の12年度税制改正要望でも、自動車関係諸税の簡素化・軽減を重点要望の筆頭項目に据え、軽油引取税の廃止を含む抜本的見直し、自動車取得税よおび自動車重量税の廃止、ガソリン税と消費税のタックスオンタックス解消を求めている。
 昨年末の税制改正論議では、総務省が自動車重量税(国税)と自動車税(地方税)を一本化する環境自動車税構想をぶち上げた。この構想は政府、与党内で「火事場泥棒だ」などと評判が悪く、議論は先送りされたが、これをきっかけに車体課税を地方税、燃料課税を国税に再整理するとの考え方も浮上した。この議論が今年の税制改正論議で再浮上する可能性もある。
 野田新内閣が発足した。財政難を背景に税負担軽減の議論は難航も予想されるが、自動車ユーザーの過度な税負担は税の公平性に反するものであり、早期に正すべきだ。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら