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日本流通新聞10月3日付紙面から

社説:荷動きが足元で改善

 製造業や卸売業の国内向け出荷量の増減を示す『荷動き指数』の7-9月期実績(見込み)はプラス1と、前の4-6月期(マイナス21)より22ポイント上昇し、大幅に改善した。日通総合研究所が9月27日まとめた「企業物流短期動向調査」(速報)で分かった。
 7-9月期の『荷動き指数』は、7月時点でマイナス10と、マイナスの業種が全15業種のうち11業種を占めると予想していたが、実績は8業種がプラス、7業種がマイナスを示した。自動車関連の「輸送用機械」出荷が想定以上に伸びたことなどから大きく上ぶれした。
 さらに10-12月期の『荷動き指数』見通しは、4ポイント上昇しプラス10まで浮上する。荷動きは、ほぼ前年度水準まで戻ると予想している。業種別では、プラス業種が10業種まで増加する見込みで、荷動きの動きが広範囲の業種に拡大する。
 なかでも、自動車関連の「輸送用機械」は、4-6月期実績でマイナス47と大きく落ち込んだあと、7-9月期実績で63ポイント上昇のプラス16、10-12月期見通しではプラス50と34ポイント上昇し、V字型の回復が見込まれる。
 一方、加工組立型産業でも一般機械・電気機械・精密機械の10-12月期『荷動き指数』は、水面下の動きが予想される。一般機械は7-9月期実績のプラス6からマイナス12、電気機械はマイナス8の横ばい、精密機械はゼロからマイナス12の見込みだ。
 日通総合研究所によれば、11年度の国内貨物総輸送量の見通しは前年度比3.6%減の45万8130万トンと、前回の6月調査の4.0%減の46億6060万トンから上方修正した。
 上期は6%近いマイナスで推移したあと、下期に入り、生産や消費の回復などを背景に、徐々に持ち直していくようだ。ただ、復興需要の発生が後ズレするなかで、総輸送量がプラスに転換するのは1-3月期と予測され、12年連続のマイナスは避けられない。
 輸送期間別では、営業用トラックが上期に5%近く減少したあと、下期には生産関連・消費関連の持ち直しが期待できることから増加に転じ、年度全体では2.1%のマイナスにとどまると予測している。
 7-9月期の『荷動き指数』実績は想定外のプラスとなったが、長期化する円高で輸出の伸びの下押し要因で、先行きの懸念も強まっている。
 だが、10-12月期も自動車関連の生産回復が追い風となる見通しだ。足元では順調な回復の動きがみられる。じっくりと足元を見つめよう。

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