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日本流通新聞12月5日付紙面から

社説:車に頼り過ぎた税を見直せ

 2012年度税制改正審議が大詰めを迎えている。政府は9日にも税制改正大綱を閣議決定したい考えだが、「大玉」である自動車車体課税の抜本見直しについてはなお着地点が見えてこない。
 民主党税制調査会は11月28日にまとめた重点要望で、自動車取得税と自動車重量税の廃止もしくは抜本的見直しを求めた。28日の党税調では、川内博史衆院議員が「私がガソリン値下げ隊長だったことをお忘れではないでしょうね」と発言し、自動車取得税と自動車重量税の廃止について、暫定税率の問題を含めて党として約束したことをやり遂げたいと述べて財務省を牽制した。また、地方ほど自動車保有台数が多いことから地方の家計負担軽減、自動車工場が立地している地方については空洞化を懸念する観点から、「2種類の悲痛な叫びがあった」(古本伸一郎党税調事務局長)という。
 こうした声を踏まえて、党重点要望には「超円高・国際的な金融危機の下、産業空洞化を防ぎ、雇用を守る点で成長戦略にも資することを勘案すれば、早急に実施すべき」とする一文が付け加えられた。
一方、財務、総務両省はなお代替財源の提示を求めて譲らない。安住淳財務相は11月29日の記者会見で、党重点要望が自動車取得税と自動車重量税の廃止を求めていることについて「消費税の議論の中でというのは十分あってもいい。ただ、来年度すぐというなら見合い財源をどうするのかだ」と述べて代替財源がなければ即時廃止は困難との見解を示し、「エコカー減税などを総合的に勘案しながら、最も有効なものは何かを考えたい」と来年度はエコカー減税の延長にとどめる考えも示唆している。
 道路特定財源の一般財源化により課税根拠を失っている点では、燃料課税も同じだ。軽油引取税の廃止を含む抜本的見直しを要望している全日本トラック協会では、道路整備と無関係なため課税免除となっている農業用、船舶用などの軽油について「税の公平性に著しく反する」として反発を強めており、来年度税制改正でこれらの課税免除措置が延長されるような場合には、営業用トラックも課税免除にすべきだと強く主張している。
 自動車には9種類で8兆円もの税が課されており、自動車ユーザーの重税感は大きい。足下のガソリンや軽油価格も高騰しており、運送事業者などの経営に重くのしかかっている。
 税の公平性を実現するためにも、自動車に頼り過ぎている歪んだ税制を一刻も早く見直すべきだ。

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