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日本流通新聞2月27日付紙面から

社説:高速料金巡る動向注視

 高速道路の料金割引が2年後に大幅な見直しを迫られそうな情勢となっている。
 現在の割引財源である利便増進事業予算を2013年度末で使い切るためで、これに本四高速が全国プールに入ればその債務償還も加わり、放っておけば大幅な値上げになる。
 本四高速については、巨額の建設費を償還するため、国と地方が年間800億円に及ぶ出資金を負担しているほか、割高な通行料金が設定され、地方出資団体からは料金水準を全国並みに引き下げるよう要望が出されていた。
 国土交通省と地方出資10団体は17日、本四高速料金を全国共通水準に引き下げることで合意した。その際本四以外の高速道路利用者からの支援が必要になることも想定されるとし、本四高速を高速道路の全国プール制に組み入れる方針を示唆した。
 本四の料金を引き下げるためには、全国プールへの組み入れはやむを得ない措置といえるが、他の高速道路料金には値上げ要素となる。
 本四の全国共通料金は、2014年度以降のNEXCO料金割引の見直しと併せて2014年度から導入することとされた。どのみち2013年度で割引財源が払底するため、高速道路の料金割引は見直しが必至の情勢だ。
 値上げを回避するには、利便増進事業に代わる国費の投入が必要だが、道路局では「現在の財政状況で税金を投入して安くすることは難しい」と国費投入は困難との認識を示している。
 償還期間の延長も値上げを回避する手段となり得る。本四への出資地方団体は本四の料金引き下げに当たり、償還期間の延長など償還スキームの抜本見直しを求めている。用地費を償還対象から除外することも考えられよう。
 いずれにせよ、2014年度以降の高速道路を巡っては、料金のあり方、償還のあり方などが大きな焦点となる。道路局では「有識者委員会で24.6円/kmという料金水準を一律に引き下げるべきとの意見と、一方できめ細かに割引すべきとの意見もある。トラックと乗用車などとのバランスの問題も含めてこれから議論したい」と抜本的な見直しを示唆しており、予断を許さない。
 NEXCO西日本と本四高速の合併、償還スキームの見直しには、法改正が必要になる。法改正に要する期間を見込んで、本四の全国共通料金の具体案を来年3月にまとめる方針だ。本四以外の高速道路料金についても1年後には一定の方向性を明らかにしておく必要が出る可能性が高い。今年も高速道路料金を巡る動向から目を離せそうにない。

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