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日本流通新聞5月7日付紙面から

社説:「荷動き停滞」は意外な結果

 製造業や卸売業の国内向け出荷量の増減を示す『荷動き指数』が伸び悩んでいる。日通総合研究所がまとめた「企業物流短期動向調査」(物流短観)によると、2012年4-6月の『荷動き指数』は依然として水面下のマイナス7の見通しだ。
 11年10-12月、12年1-3月、そして12年4-6月と3四半期連続でのマイナス7で、荷動きは停滞している。
 1年前は東日本大震災の影響で荷動きも落ち込んでいたため、その反動が期待されたが、意外な調査結果という印象が強い。
 製造業や卸売業の15業種のうち、9業種が前期(12年1-3月)実績よりも『荷動き指数』が上昇する一方、6業種で下落するなど、業種によって跛行性がみられる。
 具体的には、プラス業種が「食料品・飲料」、「繊維・衣服」、「鉄鋼・非鉄」、「電気機械」、「輸送用機械」、「生産財」の6業種。ゼロ水準は「精密機械」で、「パルプ・紙」や「化学・プラスチック」など8業種はマイナス見込みだ。
 地域別では、4地域で改善する一方、逆に4地域では悪化が見込まれるなど、業種と同様に跛行性が見られる。プラスの地域は北海道と東海の2地域にとどまり、荷動き回復の動きは、限定的との見通しである。
 運賃・料金『動向指数』の4-6月見通しは、内航コンテナがプラス5とやや上昇方向に動くが、その他の輸送機関は引き続きゼロ水準プラス・マイナス2の範囲にとどまる。
 荷動きの停滞が続く中で、燃料価格が高止まっている。このため、運賃・料金の水準は当面、小幅な変化での推移が続くものと予想される。
 ただ、一般トラックの4-6月『運賃動向指数』は、1-3月実績より1ポイント上昇のプラス2を見込んでいる。繊維・衣服がプラスに浮上し、電気機械もマイナス2からゼロ水準まで戻すなど、緩やかな上昇になると予想している。
 一方、特積みトラックは、1-3月と同じプラス1。木材・家具など3業種がプラスに浮上するものの、精密機械など3業種がマイナスに落ち込む。
 内閣府が発表した4月の月例経済報告は「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」としている。企業の業況判断は、3月の「大企業製造業で低下」が4月には「大企業製造業で下げ止まり」と表現を上方修正している。
 欧州債務問題や原油高といったリスクは存在するが、経営体質を筋肉質にして景気の本格的な持ち直しを待ちたい。

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