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日本流通新聞6月18日付紙面から

社説:独禁法より強力な法的措置を

 公正取引委員会が、一般から提供された情報をもとに優越的地位の濫用に関し調査する「優越的地位濫用事件タスクフォース」(優越TF)が効果をあげている。
 公取委がまとめた2011年度の優越TF活動状況によると、優越的地位の濫用に関する「注意」件数は、前年度(55件)とほぼ同水準の52件だった。
 優越的地位の濫用に関する「注意」件数は、2007年度が12件、2008年度が8件。2009年度は前年度比2.8倍の22件と急増したが、そのうちの16件は同年11月に設置された「優越TF」で処理された。
 2009年度の月間平均処理件数は、優越TF「発足前」が0.8件だったのに対し、「発足後」は3.6件と大幅に増えた。2010年度は4.5件、2011年度が4.3件。優越TF発足に伴って、効率的に処理されるようになった。
 優越TFは2009年11月18日に設置されて以降、2011年度までに123件の「注意」を行っている。このうち、小売業者(スーパー、ドラッグストアーなど)による納入取引が59件で最も多く、次いで物流取引が29件となっている。
 昨年度の物流取引での注意件数は9件と前年度を下回ったが、小売業者による納入取引(29件)に次ぐ水準である。物流取引の違反事例では、「減額」が5件で最も多く、次いで「購入・利用強制」と「協賛金などの負担要請」がそれぞれ2件、「やり直し」と「その他」が1件ずつとなっている。
 優越的地位の濫用とは、「取引上、優越的地位にある者が、取引先に対し不当な不利益を与える行為」である。優越TFに、濫用行為の抑止・是正を期待したいが、現実は厳しい。
 「荷主に対する交渉力が弱く、価格転嫁が困難な業界だ」。全日本トラック協会は消費増税時の価格転嫁対策を民主党から問われ、業界の実態を訴えて強制的な転嫁の仕組みを設けるよう要望した。
 「荷主を訴えると明日から来なくてよいと言われる」という文句も業界の常套句だ。荷主の行為が不当であっても、報復を恐れてなかなか申告できないのが実情だ。
 一方、全ト協の5月調査では、軽油価格の上昇分を運賃に「全く転嫁できない」と答えたトラック運送事業者が8割にも達する。荷主に言い出せないままなら、収益が蝕まれるばかりだ。
 優越的地位の濫用を抑止・是正するためには、独禁法を超えた、より強力な法的措置が必要ではないだろうか。

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