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日本流通新聞7月30日付紙面から

社説:高速料金と自動車の税負担

 国土交通省の審議会が9月から高速道路の料金割引についての検討を開始する。割引財源が来年度一杯で枯渇するため、その後の料金割引をどうするかについての検討だ。
 現在の割引財源は、道路特定財源が一般財源化された際に、スマートインター整備費用も含めて毎年3000億円を10年間かけて使う計3兆円の利便増進事業として創設されたものだ。つまり、自動車ユーザーの税負担が原資となっている。
 大口・多頻度割引や地方部通勤割引(5割引)、大都市近郊の早朝夜間割引(5割引)、深夜割引(3割引)といったベースとなる割引は、道路公団民営化後に高速道路会社の負担により実施されているものだが、深夜割引の拡充(5割引)や平日昼間割引(3割引)、大口・多頻度割引の拡充(契約単位割引の利用額要件の緩和)、首都高速の大口・多頻度割引などの上乗せ分はいずれも利便増進事業により国費で賄われている。
 利便増進事業の財源3兆円は、2008年度から2017年度までの10年間かけて使う予定だったが、政権交代後の割引拡充で、これを2013年度一杯で使い切ってしまうことになった。
 このため、2014年度以降の割引をどうするのかについての検討を社会資本整備審議会道路分科会に新設された国土幹線道路部会で9月以降議論していくことになった。
 料金割引を国交省の審議会で検討できるようになったことも1つのポイントだ。道路分科会の分科会長代理でもある太田和博専修大教授は講演で「道路政策の混乱期が終わり、再構築の動きが出てきている」と解説している。これまで政治主導で進められてきた料金政策もようやく本来の形に戻りつつあるということだ。
 国交省では現行割引の効果を検証し、割引目的を一つ一つ明確にした上で整理する方針だ。
 料金割引を継続する場合には、当然代わりの財源が必要になる。あるいは借金を返す期間、つまり償還期間を延ばすという方法もある。
 代替財源の確保は、厳しい財政事情のなかで困難とも言われるが、新たな財源が必要になる2014年4月は、奇しくも消費税引き上げ時期と一致する。増税により財政に一定の余裕が生まれることは間違いない。
 一方、道路特定財源諸税は一般財源化により課税の根拠を失った。にもかかわらず自動車ユーザーは上乗せ分の暫定税率まで払い続けている。これらの税が廃止されない限り、自動車ユーザーは声を大にしてより多くの予算を道路や自動車関係に充当すべきと主張すべきだ。

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