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日本流通新聞9月24日付紙面から

社説:軽油の価格決定透明化を

 資源エネルギー庁が軽油の値決め方式解明に乗り出す。スタンド以外の流通・販売形態のある中間留分(灯油、軽油、A重油)について、流通実態と価格形成メカニズムを明らかにすることが目的だ。
 軽油の販売は、大半がトラック、バス向けであり、大口顧客のタンクに直接納入する「インタンク」取引が多いという特徴がある。その価格は、インタンク価格、フリート価格、一般店頭価格の3通りに分かれており、それぞれ価格決定メカニズムも異なる。
 価格が高騰すると、その流通構造や値決め方式が改めて問題になりやすく、トラック事業者などからの陳情や問い合わせが多くなっているという。
 軽油を含む石油製品の価格については、2008年10月から元売各社が新価格体系を導入し、それまでの原油価格連動型から市場価格連動型へと変わった。ガソリンについては、東京工業品取引所(TOCOM)の石油製品先物価格を指標とし、非上場の軽油についてはRIM陸上業転価格と呼ばれる民間調査会社のスポット価格が指標とされた。
 ただ、業転物を市場に放出するのは元売自身であり、元売が放出量を絞れば需給が締まって業転価格が上昇する可能性がある。さらに、指標とされる業転価格を調べる民間調査会社の調査手法が不透明である点なども指摘されている。
 2008年秋以降の価格下落局面で、ガソリンに比べて軽油の値下がりが鈍かった際、トラック業界内でもこうした声が高まったが、現在でも「何をベースに価格が決まっているのか、よくわからない」(業界関係者)とその不透明さを指摘する声がある。
 資源エネルギー庁は、この新価格体系移行後、初めて軽油の価格形成メカニズムを明らかにするための実態調査を来月から開始する。
 調査は、スタンド、インタンク業者、フリート業者のほか、トラック・バスの運送事業者に対しても行う。流通実態や調達先、流通経路などを明らかにするほか、値決め方式、価格指標、事前・事後調整の有無なども調べる。
 調査結果を踏まえて、課題を明らかにするとともに、安定供給に関する政策課題などについて検討を行い、来年2月に報告書としてまとめる予定だ。
 軽油価格は3月、4月と高値をつけた後下落に転じたが、8月には再び上昇、9月も値上がり見込みだ。今回の調査で、価格形成メカニズムの透明性が高まることを期待したい。

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