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日本流通新聞10月8日付紙面から

社説:「国民と生きる」トラックに

 全日本トラック協会が9日から、同協会ホームページ上でWEB版ヒヤリハット集を公開する。
 トラック運送事業者のドライブレコーダーで記録された「ヒヤリ」、「ハッ」とした瞬間の映像を全ト協が集め、内外に広く提供する。映像を共有することで、トラック運送業界の安全教育に役立てるとともに、一般ドライバーや歩行者などの安全啓発にも役立つと期待されている。
 同協会ではドライブレコーダーの普及に積極的に取り組んでいるが、中小事業者にとって膨大な映像データを解析し安全教育にフィードバックすることが課題となっている。
 トラックのヒヤリハット映像集は、神奈川県トラック協会が作成したDVDを除くとほとんどないのが実情で、昨年京都で行われた事業者大会でも、全ト協にヒヤリハット映像を集積し、全国の事業者が安全教育に活用できるようにすべきとの提案がなされていた。
 WEB版ヒヤリハット集では、トラック事業者が危険予知トレーニング(KYT)に活用できるよう、映像再生前に解説シートを閲覧する仕組みとなっている。
 一方、ヒヤリハット映像は一般市民も視聴可能で、トラックからの「見え方」を理解することを通じて交通安全に協力してもらう狙いもあるという。
 課題は映像の収集だ。同協会では当初、会員事業者からの投稿を期待したが、映像投稿には多少の知識が必要なうえ手間もかかるため、思うように集まらないという。同協会では自ら映像収集に動き、今年度内に30事例、1年以内に100以上の事例掲載をめざすとしている。
 営業用トラックが第一当事者となった今年の死亡事故件数は、8月末現在で前年同期比12.4%増の227件と依然として増加傾向が続いている。運転者への安全教育をはじめ、地道な努力が求められる。
 さて、10月9日といえば、「トラックの日」である。今年も全国各地で様々なイベントが行われ、各県トラック協会、あるいは各支部ごとにトラック輸送の役割と重要性を訴える活動が展開されている。
 全ト協が今回製作したポスターや広告のメインコピーは「トラックと生きる」だ。スーパーやコンビニへの商品納入をはじめ、国内貨物の約92%をトラックが運び、日本中の暮らしを支えていることを強調するものだ。
 国民がトラックと共に生きるということは、トラックも社会と共生するということだ。事故を1件でも多く減らし、「国民と生きる」トラックとなりたい。

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