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日本流通新聞10月15日付紙面から

社説:海コン法制定を求め続けよう

 海上コンテナ陸上輸送の安全確保のため、コンテナへの適切な積み付けや重量情報などの伝達などを定める国際ルール作りが進んでいる。
 IMO(国際海事機関)など国際3団体は15日〜17日にかけてジュネーブで専門家会合を開き、国際ガイドライン素案を議論する予定だ。
 ガイドライン改正作業は、昨年10月に始まったが、日本側が発荷主、フォワーダー、海運事業者、トラック事業者ら関係者の役割と責任を明確にし、重量などのコンテナ情報を関係者に順次伝達すべきと問題提起していた。
 ガイドラインは2013年末に最終案を確定し、14年中に各団体が機関決定する見込みだ。
 もう一つの国際ルールである、SOLAS条約改正では、発荷主に対し船社への重量証明伝達を義務付ける改正作業が進められており、早ければ14年の採択、16年の発効が見込まれている。
 一方、国内では、国土交通省が一昨年の通常国会に国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送安全確保法案を提出したが、同年末の臨時国会で廃案となり、今年の通常国会に再提出された。ただ、衆参ねじれの状況下で法案審議は進まず、9月の会期末処理で継続審議とされた。
 海上コンテナの陸上輸送に当たっては、トラック運送事業者やその運転者がコンテナ内の品目や重量、積み付け状況などを把握できていないため、偏過重などのおそれがあるコンテナでも状態を確認できずに輸送しなければならない。
 このため海コン法案は、すべての関係者に対し、コンテナ内の貨物の品目、重量、積み付け状況に関する情報を運転者まで伝達することを義務付けており、トラック運送業界では「画期的な法案」(全ト協)として早期制定を要望している。
 ただ、国内の受荷主に対し、海外発荷主から重量情報などを取得できなかった場合、コンテナの重量測定を義務付ける内容となっていることから、経団連が難色を示しているとされる。
 今年3月の法案再提出に当たり政府は、発荷主からコンテナ情報を取得できない場合は、船社から取得できるように修正を加えた。SOLAS条約改正で船社が正確な重量情報を取得できるようになることを見越した修正だ。
 日本の海コン法案は、いってみれば国際ルールを先取りしたもので、一歩先を行く格好となっている。国際ルール作りが進展してくれば、国内法整備の機運も高まるはずだ。あきらめずに法律制定を求め続けるしかない。

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