社説:「やらまいか」精神で道を拓け
第17回全国トラック運送事業者大会が18日、静岡県浜松市で1500人超が出席して盛大に開かれた。
2つの分科会では、ドライブレコーダーなど車載情報機器の導入・活用や原価意識の向上などを巡り討議が行われた。
分科会は、従来のようにひな壇に担当副会長がずらりと並ぶスタイルではなく、コーディネーターやパネリストも有識者頼みではなく、事業者による手作りの勉強会的な雰囲気で進められた。
とくに原価意識の向上を討議した第2分科会は、コーディネーターもパネリストも事業者自らが行うという「初の試み」(コーディネーターを務めた樋口恵一川崎陸送社長)で、参加者は、原価意識を持つことの重要さについて、先進的に取り組むパネリストの言葉に真剣に耳を傾け、優れた発表には惜しみなく拍手を送っていた。
第2分科会では、アンケート代わりに会場の参加者に挙手を求めて原価計算に取り組む事業者の多さを確認するなど、参加意識を高める工夫も感じられた。まさに「分科会」と呼ぶに相応しい運営だったのではないか。
今年の事業者大会が開かれた静岡県浜松市は、ホンダ、スズキ、ヤマハ、カワイといった世界に名だたる企業を育てた場所で、同市は「出世の街 浜松」としてプロモーションを図っている。
浜松城を築いて後に天下統一を遂げた徳川家康を模したマスコットキャラクター「出世大名家康くん」も事業者大会の壇上に登場し、鈴木康友浜松市長とともに同市のアピールに一役買っていた。
鈴木市長は「受験生の聖地が京都の北野天満宮ならば、ビジネスマンの聖地は浜松だ」と強調した。
県庁所在地ではない浜松市が政令指定都市となるまで発展を遂げたのは、「やらまいか精神」と呼ばれる進取の精神がこの地に根付いているからといわれている。
「やらまいか」とは、遠州弁で「やってみようじゃないか」、「やってやろうじゃないか」という意味で、チャレンジ精神を持った創業者らが新たな産業や企業を興し、今日の浜松市を築くに至ったという。
今回の事業者大会では、例年のガンバローコールに代えて、「やらまいか」コールで気勢を上げた。
円高による空洞化の進展、欧州や中国経済の減速、国内では少子高齢化および人口減少とトラック産業を巡る経営環境は厳しく、閉塞感も強まっている。このようなときこそ、「やらまいか」精神で新たなことに挑戦し、道を切り拓きたい。