日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞11月5日付紙面から

社説:早期に補正予算編成を

 企業業績が急速に悪化している。パナソニックが7650億円、シャープが4500億円とそれぞれ大幅な赤字を計上する見通しとなった。
 自動車メーカー各社も中国での販売が大幅に減少しており、ホンダが通期下方修正を余儀なくされるなど業績回復に影を落としている。
 欧州債務危機や中国経済減速の影響が長期化しており、円高もあって輸出企業の苦戦が目立つ。9月の鉱工業生産指数は前月比4.1%の低下となり、3ヵ月連続の低下だ。前年同月比では8.1%の低下となる。
 9月の有効求人倍率は3年2ヵ月ぶりに悪化に転じ、経済減速の影響は雇用面にも及び始めた。
 物流業の業績も悪化している。とくに7-9月が減収減益となり、4-9月累計や通期の業績を下方修正する企業が目立つ。
 最大手・日本通運は、2012年度通期の業績を当初の増収増益から一転して減収減益に下方修正した。国内での荷動きの低迷に加え、欧州のほか中国をはじめとするアジアでの輸送需要が不透明感を増しているためだ。
 宅配便トップ・ヤマトホールディングスも4-9月決算を下方修正した。宅急便取扱量が計画未達となったこと、メール便荷受け厳格化の影響が想定を上回ったこと、集配改革が期待した効果に到達せず要員投入が先行したこと、保有有価証券の減損処理などが理由だ。
 日立物流の4-9月決算はバンテックの日本発着航空貨物取扱を中心にフォワーディング物量が減少したため、営業利益が前年同期比14%減少した。国内物流は横ばいだが、国際物流の営業利益は58%減と大幅に減少。通期見通しは据え置いたが、計画達成は容易ではない。
 センコーの4-9月決算は、売上拡大とM&A効果で営業利益が23%増と好調で通期見通しも増収増益だが、足元の経済情勢を考慮し、増収増益幅を縮小し、下方修正した。
 日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手も世界景気の低迷で業績を下方修正している。
 東証1部上場企業の約3割が業績下方修正を迫られる事態だ。
 「日本経済の再生に道筋をつけ、雇用と暮らしに安心感をもたらすことは、野田内閣が取り組むべき現下の最大の課題だ」。野田首相は先月29日招集された臨時国会での所信表明演説でこのように述べ、経済の再生を最優先する考えを強調した。
 早期に補正予算を編成し、財政出動を伴う景気対策の断行を求めたい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら