社説:引越優良認定、業界全体で育てよ
全日本トラック協会が2014年度からの引越事業者優良認定制度導入に向けた準備を加速させている。
消費者が安心して引越を委託できる事業者を選択しやすくすることが制度の最大の目的で、引越業界全体のコンプライアンス向上、苦情やトラブルの防止もめざしている。
認定要件の1つとして、引越実運送を行うすべての事業所に、3年以内の引越管理者講習修了者が1名以上在籍していることを求めていることから、講習受講者数が激増しており、昨年度993人だった受講者数は今年度2000人超へと倍増。来年度もさらに増加しそうな勢いだ。
大手事業者や引越専業者が全国で大量に受講している影響もあるようで、1社で200人受講する例もあるという。
また、安全性優良事業所(Gマーク)の取得も認定要件としているため、来年度以降Gマークの認定申請も増える可能性が高い。これまで慎重だった大手事業者も理解を示し、Gマーク取得の意向を示しているという。
今後は「引越安心マーク」のデザインも公募する予定で、平行して商標登録も準備中だ。さらに、制度の内容や申請を案内する冊子も作成中で、着々と準備は進んでいる。
本紙のインタビューに応じた全ト協の鈴木一末引越部会長は「15年やってきて、やっと形になってきた」と感慨深げだ。
課題は、消費者への引越安心マークの浸透だ。インターネットの引越見積もりサイトでも、「優良認定事業者は安心です」という趣旨の統一的な文言を表示してもらうことになっているという。
制度そのものの信頼性も重要だ。過日の引越部会では事業者から「認定後も適切に事業が行われているかのチェックが重要となる。認定取り消し権限を持つ認定委員会が機能しないと絵に描いた餅になりかねない」との指摘があり、全ト協は消費者からの苦情に一元的に対応できる窓口を設置し、そこで得られた苦情などを事業者にフィードバックするとともに、事業者側の対応が不十分な場合には、その情報を認定委員会に報告し、認定委員会が認定取り消しも含めた判断材料とする仕組みを検討していることを明らかにした。
旧運輸省の提言から15年以上を経てようやく実現しようとしている引越事業者優良認定制度。当初は実現困難とも言われていたが、今大きなうねりとなって走り始めている。業界が活性化し、すべての利用者が満足する引越サービスの実現に向けて、業界全体でこの制度を育てていく必要がある。