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日本流通新聞3月4付紙面から

社説:消費税と燃料高騰 転嫁へ英知を

 来年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられる。消費税は、価格の転嫁を通じて最終的に消費者が負担する税だ。経済情勢が厳しいこともあり、政府は前回の引き上げ時には行わなかった、独禁法・下請法の特例的な立法措置を講じ、価格カルテルの独禁法適用除外や、転嫁を拒否する事業者の是正指導を行う仕組みを作ることを検討している。
 法案は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための特定事業者による消費税の転嫁の拒否等の行為の是正等に関する特別措置法案」(仮称)で、公取委と財務省が中心となって法案づくりを進めている。
 自民党の消費税引き上げに伴う転嫁対策に関するPTは、この法案づくりに反映させるため、税の転嫁が困難とおぼしき業界を中心にヒアリングを進めている。
 28日のPTでは、全日本トラック協会と建設業関係団体からのヒアリングを行い、全ト協は、特措法案で創設される、転嫁拒否行為を是正指導する取引の対象に、資本金制限がある点について、「資本金の多寡にかかわらず荷主の方が立場が強いので、すべての取引を対象にしてほしい」と要望した。
 会議では、財務、公取委、経産、国交、消費者庁など関係省庁の幹部も出席するなか、議員からは「荷主が強く、過当競争体質の業界だ。公取委はこれを念頭に置いて考えてほしい」などと業界の実情に配慮するよう求める意見が相次いだ。
 消費税の転嫁も重要だが、トラック運送業界にとって喫緊の課題は燃料価格上昇分の転嫁だ。
 国内軽油価格は、全ト協調査の1月ローリー価格(消費税抜き)が105.5円だが、元売り各社の2月の卸売価格値上げ幅は4.9円、3月はさらに6円を超える値上げを見込んでおり、その場合1リットル当たり116円を超える事態となる。115円を超える価格は、燃料高騰のピークをつけた2008年以来ない高水準の価格だ。
 28日の自民党消費税転嫁PTでも、議員から「燃料サーチャージを法制化できないか。燃料供給側は消費税引き上げ、為替、原油高騰と渾然一体で値上げしてくる」と危機感を示す意見があった。
 トラック業界では「円高でも下がらないのに、円安になると途端に高くなる」と元売り各社の価格決定に対する不信感が根強い。元売り各社はより丁寧に説明すべきだ。
 消費税率引き上げ、燃料価格の高騰とも、運送事業者の責によらないものだ。こうしたコストの転嫁が円滑に行われる社会の実現に向けて、関係者は英知をしぼってほしい。

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