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日本流通新聞3月18付紙面から

社説:燃料高騰からトラックを守れ

 燃料価格が高騰を続けている。ドバイ原油価格は高止まりだが、円安の進行により、この7カ月で1リットル当たり14円の値上がりだ。
 14日、都内のホテルで行われた自民党トラック輸送振興議員連盟総会では、現下の最重点課題として燃料高騰対策があげられ、燃料高騰対策補助金の創設、燃料サーチャージ導入促進策の一層の推進、軽油の価格監視の徹底などの要望が行われた。
 燃料高騰対策補助金は、2008年の燃料高騰時に補正予算により計200億円の補助(中小トラック事業者構造改善実証実験事業)が行われたことが念頭にあるが、こうした補助金が再び実現するかは不透明だ。
 農業、漁業などを含めて産業全体に影響が及べば、政府として燃料高騰対策を打ち出す可能性はある。
 燃料高騰分の価格転嫁にも取り組まねばならない。燃料サーチャージの導入促進が必要だ。2008年に導入が始まった燃料サーチャージは、事業者数ベースの導入率が1割にとどまっている。
 航空業界などでは当たり前の制度として定着しているが、14日のトラック議連で発言した全ト協の辻副会長は、トラック運送取引で燃料サーチャージが定着しない理由について「行き過ぎた規制緩和がもたらした事業者数増加で過当競争が激しくなっていることに加え、99%が中小企業で荷主に対する交渉力が弱いためだ」と指摘して燃料サーチャージに法的根拠を与えるよう求めた。
 これに対し国土交通省の武藤自動車局長は、運送取引の書面化を省令で義務付け、書面の中に燃料サーチャージを盛り込む方向で対応していく考えを示した。
 契約書面で燃料サーチャージを取り決め、書面化を義務化することで普及を図ろうというわけだが、省令改正で行う書面化については、その効果を疑問視する声もあり、荷主への強制力付与に向け何らかの工夫が必要だ。
 議連では、出席した議員から「安倍総理が経団連に社員の給料を上げるよう要請し、これに対し企業側が給料を上げる動きが出ている。軽油の高騰に対しても、安倍総理から荷主に協力を要請してほしい」との提案もあった。荷主経済界へのハイレベルでの協力要請も必要だろう。
 資源エネルギー庁は、石油元売りに対し、価格上昇に対する説明責任を果たすよう要請したという。
 規制緩和を背景とした過当競争でトラック運送業界は疲弊しきっている。政府の政策を総動員して国民のライフラインであるトラック輸送を守って欲しい。

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