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日本流通新聞6月10日付紙面から

社説:トラックを一般道に戻すな

 来年4月以降の高速道路料金値上げが必至の情勢となった。
 道路公団が民営化された際、民営化の果実として、新直轄方式の導入や建設・管理コストの縮減などにより債務を軽減し、その分で深夜割引や通勤割引が導入された。
 不正利用が問題となった別納割引制度は大口・多頻度割引へと姿を変え、偽造問題があったハイウェイカードはマイレージ割引に代替された。
 その後、数次にわたる経済対策で、平日3割引、休日5割引、深夜割引の4〜5割引への拡充が図られてきたが、これら経済対策による追加割引や拡充分の財源が来年3月末で底をつく。
 社会資本整備審議会国土幹線道路部会でのヒアリングでは、全日本トラック協会やJAFなどが現在の割引の継続・拡大を求め、JR貨物や日本旅客船協会、日本長距離フェリー協会などは割引の廃止・縮小を要望した。
 その社整審部会の中間答申案は、料金割引の規模について「割引の継続を望む声に配慮しつつも、効果が十分に確認できない割引は見直すべきであり、効果が高く重複や無駄のない割引内容となるよう工夫し、民営化時の債務の軽減の範囲内を基本として見直すことはやむを得ない」として、民営化時の割引規模に縮小する方向を示唆した。
 ただ、「仮に」と前置きしたうえで、「この範囲を超えるような規模の料金割引を政策的に追加するのであれば、具体的な財源措置と併せて検討することが必要」とし、来年4月までに何らかの財源措置を行って割引規模を維持できる可能性は排除しなかった。
 個別の割引については、トラックに恩恵がある深夜割引は、現在の5割引から3割引への縮小を示唆し、大口多頻度割引についても、時間帯割引との重複適用を見直す方向を示唆した。
 こうした見直しが行われれば、現在より実質値上げとなることは避けられず、ただでさえ燃料価格の高止まりで疲弊しているトラック運送事業者の負担が、また1つ増すことになる。
 国が注意しなければならないのは、トラックは料金の変化に敏感だという点だ。せっかく高速道路に誘導したトラックを一般道路に戻すことは、交通政策的に正しいとは思えない。トラックは料金政策により極力高速道路に誘導し、一般道路の沿道環境を確保すべきだ。
 トラックの走行経路が一般道路に転換してしまうような料金の変更は行うべきではない。

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